何か普段とは違うことをやってみたくて、


<<依頼屋ウルスラグナ>>

と、言うものをはじめてみた。
引き受ける、引き受けないは仕事のないこのご時世だが敢えてこちらで選別させていただく。
もちろんその難易度や拘束度によって報酬も変わる。しかしその達成率は100%だった。

そのためか山程くる<<ウルスラグナ>>が依頼を選別してる際、興味を引かれるひとつの依頼が入った。普段ならば興味のわくことのない系統の依頼だが、その数日前に月が破壊されており、そこから<<ウルスラグナ>>の主なまえは(今度は此処か。)と額に手をあて盛大に息を吐いた。

今回は日本だから連絡取れる気がしたんだけどな。まあ結論から言うと通信は出来なかった。もちろん転移も。惑星が別でも飛べるのにどうして別次元はダメなんだろう。本当に不思議だ。


いくつもの世界を渡り、自分が強くなったと自負しているが、今回気になった依頼、その暗殺対象を殺せるという自信は皆無だ。しかし、幻術や魔法を駆使しての可能性は1割であろうか、対象が油断さえしていれば。

じゃなければいくら成功報酬が100億でもマッハ20で動くことの出来る地球産生物を殺すことなど不可能だ。しかしながらやらねば地球が滅ぶときた。

肩の力を抜き、ギィっと椅子を鳴らしなまえは「ふむ。」と呟いた。

「ウルー、あのさ、私ちょっとやってみたい依頼あるんだけどー!」

声高々になまえはウルへ声をかける。
この世界では前の世界の相棒が共にいる。
もちろんこの<<依頼屋ウルスラグナ>>の由来は彼だ。

主人に呼ばれウルスラグナは忍びの如く音もなく現れた。しかし彼は忍びではなく使い魔である。

「呼び出してごめんよ。あのね、ちょっと長期のお仕事入れようかなって。ウルにはほかの仕事をお願いしちゃうことになるんだけどいいかな?もちろん分身は残すしできることはやるつもりでいるけど」
「…かしこまりました。否と言ってもこちらに仕事が回ることは確定しているご様子ですし、問題はないでしょう。」
「ええ…っと…そんなこと、ないよ?」

なまえが困ったように眉をひそめる。

「もちろん冗談だ。」

「……いや、まあ…もとより敬語の段階でそんな気はしてたけど」

使い魔の言葉に遠くを見つめながら肩を落とす。
パチン。とEnterキーを押す。

【そのご依頼、承りました。】

明日から楽しい楽しい生徒生活です。