おお。とある日の授業でなまえはこの世界の実力を目にした。ただただ純粋に感心した。

それはただの体育の授業だった。
烏間に無理せず付いてきてほしい。もし迷った時はこの地図、もしくは携帯で俺を呼んでくれと携帯の所持を許された時だ。
烏間の中でもなまえは一般人なのか殺し屋なのか測りかねていた。防衛省から知らされていないということから彼は6割の確率でみょうじなまえを一般人と考えていた。

それは自律型固定砲台"律"が彼女をシロだと判断したからということも一つの要因だ。

もちろんなまえはシロだ。平たく言うとこの世界では。不登校で依頼ばかりこなしていたが、普通に生を受け、小学1年で依頼屋を立ち上げ、ウルスラグナに自分はココだと主張する。

魔力の減少は感じ取っていたため案の定すぐに彼は私の元に帰ってきた。

あとは帰れさえすればそれで、十分だった。

しかしそうも言ってられないあり得ない事件が起きた。

………と、これはまあいいか。思い返しながらなまえはそんなシロと言った律が入った携帯を眺めた。(基本デバイスや念話で連絡を取るなまえにはほぼネットに使うくらいのものだ。)まあ彼女がいれば案内も余裕であろう。

なまえはこのクラスに来てから念もチャクラも魔力も何ひとつ使って来なかった。いや、顔の造形意外には使っていない。

身体能力のそれだけで突破する。彼女もまた自身にクラスメイトと同じハンデをつけ、学びの体制に入っていた。

「律、お願いします」
「任せてください!」

律はコッソリと彼女の様子を伺った。
律は彼女のことを分析しあえてわからない振りを選択していた。それは知らない振りをしていた方が確実に暗殺の確率が上がるからに他ならいからだ。
けれどそれもばれているんだろうな、律はきっちり把握していた。

なまえのプログラミングの腕で律に交渉をかけていた、なんてことはさらさらない。律ほど高性能であればハッキングなんて意味をなさない。



身体能力を試されるこの体育の授業、真面目に受ける価値ありとなまえは判断していた。そもそも彼の授業をサボるという選択肢は初めからない。
自分の前に行く彼らをなまえはジッと見つめた。
みんながみんな崖を降り蔦を使い筋力で這い上がる。
一介の中学生のそれではなかった。
サボっているカルマの姿は見えないが烏間が許しているということは彼はこのくらいのことは軽くできるのであろう。

非力そうな渚くんや奥田さんまでも息を切らしながら完走していた。

なまえの番になり、周りの視線を集めた。
うう、緊張するなぁ。口ごもり目を瞑る。

崖の下から声援が送られる

「無理はしなくていいからねー!」
「別にゆっくり降りてきても大丈夫!」
「怪我はすんなよー!」

優しい言葉の数々になまえは頷き丁寧に降りることにした。もちろんそのまま落下しても100%無事なのは明らかだがそれは確実にすべきではない

「もうちょっとー!」
「後少しー!」

聞こえる声援になまえは答えることなくやっと辿り着きましたという程を崩さず息を吐いた。


「ふああああ」

丁寧に足場一つ一つ降り、たどり着いた地面に座り込む。

「う、腕がプルプルする…」

手首をブンブン振りながらなまえは痺れてもいない腕を酷使した後のように労った。

「おつかれー、はじめはなれないよね、時期に慣れるよ」

メグにそう言われなまえは、慣れるかなぁ。と息を吐いた。そして数度深呼吸をし手で体を支えながら立ち上がる。

「体育の授業ってこんなにハードなんだねぇ…」
「前のところはどうだったの?」
「前のところは、ハードなのは特になかったなぁ…辛かったのはマラソン大会とか?でもあんまり行ってなかったからこんなにハードなの初めてで…もうフラフラだよー」
「だろうねぇ…私たちも帰ったら普通に爆睡だよ」
「へえ…じゃあ磯貝くんたちはすごく体力あるんだねぇすごいなー」

以前バイトをしているという話を耳にしとこがあるなまえは感心した様にその人物を見た。
「ん?どうしたの?」
「えっええっと、なんでも、ないです…ただすごいなぁって」
「ハハ、みょうじさんもいずれこのクラスに慣れるよ」

慣れるかなぁ。なまえは演技無しにそう思った。二、三回目を瞬いたなまえはいつものようにヘラリとわらい「だといいな」と声を乗せずに口唇を動かした。

鷹岡が去ってからこのクラスは柔らかくなった。
期末テストが近いせいか殺せんせーはピリピリとしていたが。教室に戻るとすでに大量に分身した担任が出迎えてくれた。
やるきありすぎでしょ。休み時間だよ。となまえは呆れる。

今回のテストは教科1位ごとに触手一本。彼を殺す気のないなまえはそれを隠すため、彼を殺すための訓練を真面目に受けるように努力を装ってた。放課後渚はなまえに声をかける。

「みょうじさんは今日も烏間先生の補習?」
「渚くん。うーん、テストも大事なんだけど早くみんなに追いつきたくって」
「そんな…僕だってまだまだだし…」
「そ、そんなことは…渚くんこのあいだの鷹岡先生のときとか、ビックリしたよー」
「あれは、まぐれで…」
「そのまぐれや奇跡を起こすのってとっても大変なんだよ渚くん」

重みを感じさせる言葉に渚はジッとなまえを見た。昔の聞いた請売りなんだけどねー。とへらりと笑うなまえに、渚は実感がこもっていた気がするのは気の所為?と首をかしげる。

「あ、あのさ、ねえ、渚くん相談があるんだけど…

「え?なに?」
「英語を、その、教えて、いただけませんでしょうか…」
「え?みょうじさん英語苦手だっけ?」
「苦手っていうか存在否定したいレベル。」
「は、ははは…いるよねそういう人って…」


だってそもそも!英語圏に行くこと無いし翻訳ならルークがしてくれるし自力で習得する必要なんかなかったもの。そんなこと言えるわけも無いなまえはイリーナに頼みに行くのも忍び無いし、彼女に試験対策が教えられるとも思っていなかったため、渚に頼むことにしたのだ。

「じかんが、あるときでいいので…」
肩を縮ませ項垂れるなまえに渚は「もちろん。」と笑って快諾した。
「そのかわり、みょうじさんの得意教科僕に教えてよ」
「が、がんばり、ます。」

むん。と拳を作り腰に当てたなまえは根っからの武闘家だったが、渚は気付かず笑った。
まあなまえに英語を教える大変さを身に染みてわかった頃殺せんせーの特別授業が開始されたわけだが。

「みょうじさん、貴女は英語以外の教科は文句のつけようが無い。英語アレルギー並みの毛嫌いさはこの際置いておきましょう。綴りやスペルを一つずつ暗記するところから徐々にやっていきましょう」
「そこから!?」
「はい。彼女はBe動詞から止まっています。」
「中1だよねそれ!?」
そりゃ話が通じ無いはずだよ!!!と渚は驚きをあらわにする。それになまえはムッとし違うよ!と声を上げる。
「未来とか過去もわかるよ!ちょっとだけ!」
「ちょっとだけ!」


英語圏なんて行か無いんだから別にいいよ。と最終的になまえが不貞腐れ殺せんせーが励ますという滅多に見られ無い光景が渚の前に広がった。

「なにを騒いでいる?」

ピクリとなまえの肩が反応し口を噤んだ。

「ん、ああみょうじさんか。どうしたんだ?」

現れた烏間になまえは視線を落とした。

「ぁ、あの…いえ…ちょっと英語を殺せんせーに教えていただいてまして…」

試験が間近なのを烏間も理解していたが、欠かさず参加していたなまえが遅いため様子を伺いに来たのだがそういう事か。と烏間は頷きならば…と今日は休みにするかとなまえに提案する。

「そうか。なら今日の放課後の補習は…」
「い、いきます!あ、いや、烏間先生の迷惑じゃなければ…」
「いや、迷惑では無いが…」

実際烏間はみょうじは素直で優秀な生徒だと思っている。クラスのみんなに追いつくため欠かさず毎日残って練習し、その成果も著しい。意志をはっきりしない子だと思っていたが、キチンと筋は通す性格だと烏間は評価していた。一度烏間はなぜ毎日残って練習するのか問うた事がある。その問いにみょうじはこう答えた。誓約書にサインをしたのだから。そうできる力を手に入れるために練習するんです。照れくさそうに笑うみょうじを烏間は感心し評価を上げ、プロとして接するよう努力していた。

「そうでしたね。みょうじさんは毎日烏間先生補習受けてましたね」
「は、はい。私入ってきたの遅かったしみんなに随分差を付けられてるの見るまでも無く理解できてたし。」
「それに授業も殺せんせーわかりやすいし、E組にこれてよかったって思うよ。ただクーラーないし山登らなきゃだしでとても環境は悪いけどねー」

なまえは茶化すようにへらりと笑って見せる。力の加減難しい。でも素の身体能力の向上や的確に狙う正確性を感じ取れなまえはそれだけでもこのクラスに来て良かったと感じていた。

まあどこで使うんだって話なんだけど。

なまえはわたわたと教科書を片しごめんね!と渚に謝罪し明日もお願いします!と教室を後にした。

「…………」
「………」

ぬふふふと笑う殺せんせーは、相変わらず下世話な話が大好きだった。いやでも、みょうじさんが……。渚はなまえを思い返す。いやでも。と自問自答しながらチラリと担任を見る

「殺せんせー、どう思う?」
「んー。そうですねぇ…彼女もきっと自覚していないんでしょうねぇ。」
「あ、やっぱり?」

みょうじさんの顔が照れや緊張で赤くなってるのはいつもの事だが1人だけ目の前にするとその表情が崩れる。それが烏間先生だった。

「でも、なーんか、違う気もするんだよなぁ」
「にゅふふ、烏間先生モテマスネェ。先生嫉妬してしまいそうです」
「いや、そうじゃ無くて。」