俺の友人である水鏡は悪いやつではない。悪いやつではないが良いやつでもない。


「霧野ー、今日オレ飲むもんないー」
「水道水でも飲んどけ」
「なんでだよ」


やだよ。と真顔で言う水鏡に、部活あるってわかってんだから忘れるなよ、と呆れ果てて息を吐き出した。


まあ、水鏡が悪いやつだったのならばここで水筒をとられたはずだ。

「いや、忘れた訳じゃないんだ。ただもう全部飲んだだけで」

「へえー」

「だってさあー!今日ねーちゃんが水筒準備してくれたんだぜ?もう嬉しくって気が付いたら飲み干してたわ」

「もうお前ほんとやだ」

ニヤニヤと気持ち悪く笑う水鏡に鳥肌が粟立ちこのドシスコンめ!!!と蹴りを一発入れてからペットボトルを投げ渡す。オレってば相変わらずコイツに甘い。

「まてって話聞いてけよ」

「断る」

「神童は聞いてくれた」

「お ま え は!神童に迷惑かけてんじゃねーよ!」

「なにいってんだよ神童も自分の事のように喜んでくれたわ!」

ゲシッと蹴りを返されよろけた足に力をいれて踏みとどまる。ばか力め。

「神童も水鏡に甘いからなぁ…」

どうしてこうなった、と頭を思わず抱えてしまったオレに浜野が奏の病気は今に始まったことじゃないっちゅーに相手にすっからーと思いっきり笑われた。

やはり解せん

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苦労人霧野くん