ちょっと注意BL



「水鏡」
「…神童?」

ハラハラと溢れている涙に、何だよまた泣いてんの?という言葉を飲み込んで神童を宥めることにした奏は神童の柔らかなウェーブの入った髪をそっとなでる。

堪えるように泣く神童の写メをとりてえ、と下心を隠して笑いかければ抱き着いてきた神童に内心役得と樮笑んだ

よしよし、と大人しく頭とついでに頬を撫で続けてやればおずおず顔をあげる彼を可愛いなぁと思わず頬を緩めそうになったが神童の真剣な表情に顔を締めた

「オレは…」
「うん」
「監督の考えていることがわからない」
「…そうか」

その話題は、話題自体それではないが関係する事柄は固く口止めされているため自分は頷くことしか出来ない。

「水鏡は前に言ってたよな…これから楽しいことが起きるって」
「あ?ああ起きる、絶対に忘れられないことだと思ってる」
「それは…いまこの現状のことを言っているのか?」

「…馬鹿か…これから先の未来だよねーちゃんがいうから間違いなんてないんだ」
「シスコン」
「あーもういいよそれでおまえならねーちゃんの事信じさせてやってもいいぜそれが希望になるなら」

「そら、さんか…」

「天使だよアイツさえいなきゃ」


目の前にいないそらの旦那に殺意を抱きながら同居しているあの人にも敵意を抱いてしまうのはしかたない事だと思う。

「今度、合わせてやるよ、俺の希望に」

「………別にいい」

フイ、と顔を横に向ける神童を見てあれ?と疑問に思う。

「もしかして妬いてくれてる?」

蹴りを貰ったのは言うまでもない。いてえ、と呟けばハッと息を呑んで悪いと謝る神童。デレてくれてもいいと思うんだけどなぁ

「神童こそ、新しいマネージャーにうつつ抜かさないようにしろよ、…あと松風にも…」

ああもうなんで俺が妬いてんだよ知らんもう知らん。頭をかきながら神童から離れれば下げていたもうひとつの手を捕まれた。

「会う。そらさんと」

なにか掴めるかもしれない。そんな魂胆が見えた神童にあの人がそんなに簡単にいくわけがない。なんて言えなかった。