ねーちゃんに旦那の事を嫌いかと聞かれ大嫌いだ。と喉の前の方まででかかった。それをごくりと飲み込みそんなことしたらねーちゃんが悲しむ。かは、わからないがいらないことで煩わせたくない。
そんな建前を全部かなぐり捨てて奏は突進した。
「ねーちゃんと結婚しているってだけで万死に値する!」
「えええええ」
2.3年生の呆れと驚き戸惑いの混じった声が奏の後ろから聞こえる。
音無は苦笑いを浮かべている。夏未は特に気にした様子もなく誰かを探していた。
「やだなあ、奏、私と結婚してるっていうか、和哉が私を一番大事にしてくれるんだよ?」
2.3年生は聞いたら(なんだ惚気か。)と思った瞬間奏の肩が小刻みに揺れている事にハッと気がついた。
「ねーちゃんに信頼されてるアイツが憎い!!!」
地団駄を踏む奏をチームメイトは思った、ああこいつ、だからモテないんだな….、と。哀れんだ目で見られていることに気がつかない張本人は人前だということを理解しているのかいないのか、抱きついたまま離れようとしない。
そのとき音無と夏未のこんな話を耳にした。
「懐かしいわね、あの光景。」
「ああ、逆でしたけど中学時代のキャプテンとそら先輩見たいですよね。夏未さん気が気じゃなかったんですか?」
「そうでもないわよ?彼と出会う前から本人の口から聞いていたしね。それに自覚したあともFFIでそらの口から聞いているし。何より再開してからげんなりしながらもきちんと一之瀬くんの愛を受け止める彼女を見てそれから疑うことはなくなったわね」
ああ、強烈でしたもんね、と遠い目をする二人にえ?どこかにそれ納得する理由あった?とハテナを浮かべる。
え、今げんなりって言いませんでしたか?と神童が戸惑いなく話しかける。
「そうなのよ、すっごくしぶしぶって顔してるの。まあたまたま見かけた二人きりの時そらが照れてるのを見てから照れ隠しなんだろうなとそれからは微笑ましくなったわ」
「それは水鏡も…」
「あれだけ目の敵にしてるからには見かけてるんだと思うわ」
音無の言葉に神童も憐れんだ目で水鏡を見た。そんなことより、と音無がさらに言葉を続ける。「剣城くんは?」
「いえ、来てません」
「また?用事あったんだけどなー」
「あいつにですか?」
先ほどと一転、苦々しい顔を隠さない神童に夏未はその子がこの間の原因なのねと眉を顰める。
音無は腕を組み「なら明日にでも伝えるわ、それよりみんな!とっくに練習再開の時間よ!」と今が15分の休憩が終わっていることを告げた。
「ほら、奏行っておいで」
「ねーちゃん帰っていいよ」
「見てくよ。」
これから予定ないし。と笑うそらに奏は顔を輝かせる。「ねーちゃん!今からの練習試合おれハットトリック決めるよ!」と一目散に駆け出していった
「おまえシスコンだな」
「うっせーよ、今日は一切て加減なんかしてやんねーっすよ先輩?」
「はっ返り討ちにしてやる」
(やっぱ中学生は元気だねー)
(おばさん発言はやめなさい)
(やだなーなっちゃん。
あ、日傘いいなーいれてー)
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零