「う、あー…」
「どうしたのよ」

夏未が欝陶しそうにも話し掛けてくれたため今の不満をぶちまける

「円堂が足りない…!」

「はあ?」

意味がわからなかったのか彼女は顔をしかめた。だから、足りないんだよ。円堂が。

「円堂の背中にギューってしたいーっ円堂が足りないー!」

「な、何言ってるのよあなたは」

「うわ、呆れないで夏未、私の一大事」

「馬鹿じゃないの?」

柔らかそうな椅子に腰を沈ませどうでもよさそうにこちらと会話。片暇にキーボードを叩いているのは私には見えてない。見えてない。

「酷いよ夏未嬢」

「仕事の邪魔する貴女のほうが酷いわ」

「冷たいよ夏未嬢」

「普段から寝っぱなしの貴女に言われたくないわよ」

「それは仕方ないのだよ夏未くん」

「ええそうね、いい加減に怒るわよ?」

ごめんなさい。

口に×マスクを着用。夏未に描かれた×はなかなかにシュールだ。


「円堂が足りないんだよ、大変だ大変だ」

「マスク着けててもいうの?」

今の貴女凄く滑稽よ?クスクスと笑う夏未に「意地悪、」ジト目でにらむ。

「貴女のお望みである円堂くんならグランドよ」

「……!」

今行くよ円堂ー!


元気にのんびり歩き出すそらの様子に夏未は溜め息を溢した