ぽやんぽやん、と浮く頭をフルに起動させ、ああまた迷惑かけたのか。と彼に対して日々の後悔をすること10秒。
ごめんね、またお願いしちゃうかも。結論が出たところでそらを背負っている円堂が声をかける。
「お、起きたか?」
「んー。毎度毎度ごめんね」
「気にすんなって!俺も練習になるしな!」
そらの目が異様に輝いた。きらきらと。これも何時ものことだ。隣を歩いている豪炎寺は「甘やかさない方が良いんじゃないのか?」と言ったこともあったが、彼もこの純粋に喜んでいる様を見て再び言うことは無かった。
「いい人だ…」
「……?当たり前だろ友達なんだから」
「……いい人だ…!」
首元にギューっと抱きつき慌ててそらを支える円堂に周りは笑い出す。
これもまた一種の名物だったりする。普段凄く大人びて見える彼女が幼く見える珍しい時間。
まあ移動教室なんてしょっちゅうあるから珍しくはないのかもしれないが、初めてみた奴は驚きで固まる。
「円堂はお兄ちゃんみたいだ」
「そらは手のかかる妹だな!」
(お兄ちゃんにだけだよ)
可愛らしく笑った顔が印象的だった。豪炎寺は思った言葉をすぐさま頭を振り打ち消した。
今、何故だか自身の妹に会いたくなった。
衝動的に。
解せぬ。
→
零