放課後珍しく声をかけなくても既に起きてる(そして筆箱を鞄に詰め込んでいる)姿を眺めていれば、これまた珍しく大人しく状態を起こしSTを聞く水鏡の姿があった。こんな姿は週1あるかどうかだ。


明日は雪??槍??


なんて失礼なことを大半の生徒が考えつつも起きている彼女は本当に珍しいので今日は珍獣を扱う気分だった。

「あ、風丸」

今思い出したのか、いや今思い出したんだろう。何かを言おうとしてこちらを向く。
一区切りがついたようで俺を見上げて不思議そうに首を傾げる。

「今日部活行くから」

「……は?」

ピキッと音をたて風丸は固まる。しまった、想定外の事で固まってしまった。
思わずどうかしたのか?問い掛けてしまった。

めんどくさそうに顔を顰めた彼女を見て、ああ自分の意志じゃないんだな。と判断。そしてそれは正しかった。

「夏未が行けって」
「……」
「今日自分が出れないから代理を頼みたいんだって」
「それはまた…」

水鏡にとってこの上なく面倒だろう。苦笑を浮かべ同情を示せば答えは否だった。

「日頃のお礼を兼ねてたまには善行しようと思ってね」

円堂と秋に。と2人を見て優しく微笑む水鏡にああ、2人とも苦労してるしな。同意したら面倒そうに睨まれた。一体どこからどこまで本心なのか。


ただ言えることは彼女は結構義理堅いってこと。