………なぜか、虎丸が帰ってくるのが早い。
合宿所、と言うからには泊まりがけだと思っていた私は普段通りに帰宅する虎丸の様子に首を捻る。

「虎丸、」
「そら姉!ほら手を動かす!」

「あー、うん。」

言われて持ってた中華鍋を振る。ちなみにこれは常連さんの分だ。炒飯を皿に盛り付けぱぱっと完成させた料理たちを盆に乗せてお待たせしました!とテーブルに置いた。

「そらちゃんも虎丸くんもよく働くねぇ…料理も美味しいし」

「ふふ、ありがとうございます」

「そら姉!出前入った!」
「はーい!」

厨房から聞こえた虎丸の声に反応し、では、と常連さんに笑いかけた。

「注文はー?」
「メモっといたから!」
「おけおけ」

子機の下に置いてあるメモをチラリと確認しフライパンを握る。餃子定食餃子定食っと…他の盛り付けは既に虎丸が取りかかっていたため餃子を焼くことに専念した。隣ではカツをひたすら揚げる。

「虎丸、そろそろ…」

「りょーかい!ほらラップに皿包んで!」

「ん。」

「じゃ、行ってき……!!」


元気よく飛び出していった虎丸だが言葉の途中でピタリと静止した。その後なにやら言い合うような会話が聞こえ、なんだなんだとひょっこり顔を出した


「あ、円堂」
「そら!?」
「あ、秋も!」
「そらちゃん…どうしてここに?」
「どうしてって…言われても…ねぇ?」

「オレに同意を求めないでよそら姉…」


姉!?と円堂と秋が声を上げたが豪炎寺に注意されていた。
そんなことより、とそらが虎丸に目を向け出前に行きなさい。と促せば、それが…と大きな目を少し困ったように伏せられた。

「はあ?円堂が?」
「おう!手伝うぜ!」
「だめ」
「なんで!」
「絶対だめ」

「そら!」

「仕事の内容分からない人には任せられません」

暫く続いた言い合いもそらがぴしゃり、と言い切れば円堂が悲しそうに肩を落とした。それを虎丸が慰め、今度は豪炎寺がそらと向き合った。

「オレにも手伝わせてくれ」
「だから……」
「住所さえ判れば出前ならできる」
「そらちゃん、私たちもテーブルの番号言ってくれれば料理運ぶよ」

一歩も引かない彼らにそらはため息をついた

「しょうがない…その代わり、円堂、豪炎寺どこかに料理引っくり返したりぶちまけたりしないでね。あと絶対事故るな」
「任せろ!」


明るさを取り戻しニッとを笑い拳を作る円堂に顔を緩め、なんかいつもごめんね。と心内で謝った。


(じゃあ、秋と………えっと…)
(あ、私久遠冬花です。)

(冬花さん、エプロン渡すから奧まで着いてきて。虎丸、いい加減早く出前に行って。冷めるでしょ…)