「どーも、今日手伝いに来ました」
「そら…!?」
「円堂…!!」
わー!と楽しそうな円堂と水鏡を見ながら各々練習に入る。まあ水鏡はすぐに面倒 とか言って投げ出すだろうな…とか、まあ大丈夫だろうと適当に推察し放置することにした。
「……」
まあ飲み物とか持参だし、木野がタイムや記録してるしやることは限られてるからそこまで苦じゃないだろう。オニギリ位か…?
「さて、と」
円堂から離れた水鏡はボールを両手に持ち俺らの輪に加わる。
「おまえら覚悟しろよ」
にやり、と悪どく嗤う水鏡に冷や汗が頬を伝った。悪魔がきた。
「私を抜く?お門違いなんだよ!」
「ちょおお!?」
時たま見せる生き生きとした表情に言動が加わりもはや別人だった。
なるほど確かにこれは良い練習だ。肩で息をしながら水鏡に食らい付いていくが普段運動どころか動くことすらしない水鏡に何故か勝てない。
「おま…、おかしく、ね…!?」
息を切らせながら半田が叫ぶ。MFなんだから攻守両方できる様になれよ、と知らず知らずに視線をあてられた。馬鹿野郎、俺たちをもろともしないお前が可笑しいんだ。多分オレは正常だ。DFに風丸、壁山MFは半田FWが染岡とディフェンス、オフェンス共に強化しているのに何でミニゲームで負ける。
「うーん…鬼道と豪炎寺入っていいよ」
「は……!?」
「んー…今から君たち突破してゴールまで行くから、えーと……とりあえず止めてみて」
ふあああ、といかにも怠いです。眠いです。と言いたげに欠伸をしボールを蹴りあげる。言ってることも考えてなかったのか間がある。
「マネージャーやりに来たわけじゃなかったんだな」
「…あー…マネよりも、鍛えた方が円堂喜ぶと思って」
「面倒事は御免じゃなかったのか?」
「ん、ちょっとね」
さて、行くよー
先ほどまでの覇気はないが要領を掴んだのか風丸を抜いた勢いでゴールに向かってボールを蹴りあげる。ゴールには誰もいないので普通に決まった……はずだった。
「…………おおう?」
「円堂!?」
「いやー面白そうな事やってたからつい!
よーし、もう一本いくぞ!」
「――っていう夢を見たんだっそら!サッカーやろうぜ!」
「…何がどうしてそうなった」
話半分に聞いていたそらはポカンと口を開き目を瞬いたあと、意気込む円堂に思わず口を挟む。
(あのね、円堂…私サッカー授業でしかやったことないからサッカー部を抜くなんて無理だよー)
(でも今日来るんだろ??)
(んー??私言ったけー?)
(雷門が言ってたぜ?)
夢オチ
→
零