「日本を発つねえ…」
玄関先に虎丸がやってきたと乃々美姉から聞き顔を出せば、荷物を下ろし、どうやら無事にアジア予選を突破でき出発するのだと口頭で告げられた内容に、ふーん行ってらっしゃい。ぱたぱたと手を振る。そんなそらを虎丸はわかっていたかのように表情を固くし、うん、と頷いた。
「母さんをよろしくね」
「うん」
「そら姉ちゃんと学校行くんだよ?」
「えー…うん」
「そら姉…」
「うん?」
なあに?と柔らかく問うそらに、虎丸はくしゃりと顔を歪めた。
「ホントは…ホントはね、そら姉にも一緒に着いてきてほしかったんだ。」
「だけどそんなこと言われても困るってわかってるし、笑って出発しようと思ってたのに…!」
「そら姉おれのことなんてどうでもよさそうに相手にするから…!」
ぽろぽろと泣く虎丸に困ったな…と頭を一度掻いて虎丸のそばに歩み寄った
「ばっかだなぁ……私は虎丸が絶対勝って、笑って帰ってくると思ってるのに」
「信じて待ってるからさ、虎丸のこと」
「伸び伸びやってきな?」
頭を乱暴に撫でへらッと笑えば虎丸は目を瞬いたあとニッと笑みを浮かべた。
「頑張ってくるから!そら姉のために!」
「え、あ、うん」
「そら姉、空港まで送ってくれる?」
「えー……いや、いいよ」
行こうか。ゆるゆると手を引き虎丸の大きなスポーツバックを担いだそらがへらりと笑いそらの家を出た。
「ねえ、虎丸。」
うん?と首を傾げて見る虎丸にそらはのんびりと答えた。
「もしさ、決勝まで残ったら…」
「見に来てくれるの!?」
全部を言う前に虎丸の大きな目がそらを映し出す。そらが頷けばキラキラとした目を細め「優勝するよ!だからそら姉絶対だよ!?」触れていた手をガシッと腕を掴み、詰め寄る虎丸に「うん、絶対。」待ってるね。なんて言葉をかければくううぅぅぅぅ!と力を入れ、目一杯腕を伸ばした。破顔する彼はやった!おれ、負けないからね!と抱き着いて思わず倒れ込んでしまった。
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零