「…あー……よろしく」

放課後、水鏡が手伝いに来た。渋々、不承不承、といった感じで挨拶をする。俺自身関わりがあるわけではないが、円堂と仲が良いのは転校した当初から有名だった。ただ怠惰なだけなのかと思っていたがそれは勘違いだったと気づいたのは数週間立ってからだった。

授業を最初から最後まで寝てる…気がした、がなぜか成績は上位。また教員からあてられることが少ないのも1週間程度で気が付いた。
教師が起こすのは決まってSTの時のみ。部活には入っていないらしいが家で何かやっているのだろうか。この怠惰具合を見ればおのずとそうでないことは理解出来るが。

「あー…鬼道くん、言いたいことがあるなら声に出してね」

視線が痛い。と目を擦りながら言われてハッとする。授業中あれだけ寝てるのにまだ眠いのか。呟けば意外にも聞こえていたらしい。
「あー……うん、ほら、私って今成長期だから」

「俺もだけどな。」

かなり適当に返事された。そう思うものの、くっと笑いを堪えれば「人それぞれさ」と欠伸を噛み殺しながら返される。そして踵を翻しそのまま部室へと消えた。閉じた扉を見つめ今までに見たことのない人種の存在にとうとう笑いを堪えきれなかった。

「ははっ…面白いな」

気にくわないけどな。



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鬼道さんの思うところ

220426