帰ってきました日本
地面に足をつけ体を伸ばしタクシーから降りればそこは虎ノ屋前。ううん数日ぶりのこの光景はなんとも感慨深い。優勝という結果を持って帰った虎丸のために今夜はごちそうかな、なんて考えてのれんをくぐれば……んん?のれん?どういうことだと中を見ればすでに準備を始めていたおばさまに思わず慌てる


「え、今日までお休みじゃなかったんですか!?」

「そう何日も開けてられないわ、それに今日は貸切だから平気よ」

「貸切・・・?」

「ええ、イナズマジャパンの皆さんのね」

「な・・・」

「そらちゃん、手伝ってくれるかしら」

「あ!はい!」

「ありがとう、助かるわー」

ぱたぱたと手を洗いに洗面台まで走りよればありがとう、といわれた。とんでもない。これくらいお安い御用です。にへら、と笑えば「そうそう、彼ら6時に集合らしいわ」

その言葉にチラリと時計に目を向ければ針のさす数字は4だった。
「ってことはあと…」

2時間…は?2時間!?今から料理っていうかごちそうなんてとてもじゃないが用意できそうにない。ケーキとかいろいろ準備したかったのだが、そうも言ってられないらしい。
「ののみちゃんも手分けして手伝ってくれてるから間に合うと思うわ」
「のの姉が?」

うーんそれはとても心強い助っ人だがそれでも何人くるかわからない。けれどイナズマジャパン全員がくるなら人数が人数だ。そして食べ盛り。これは気合を入れて作らなければ。


…………っていうのも、面倒だし、あれだ、パスタにしよう。乾燥パスタ茹でよう。たしか5kg入りが2袋残っていたはずだし和食屋だけど、パスタでも構わないはずだ。ソースだけ別個に用意して、かけてもらおう。それなら時間のロスにならないし私もらくだ。ソースも数種類かな、終わったら、おばさまの方を手伝ってその後麺湯掻けばいいか。よし。
算段が決まったため冷蔵庫をあさりに行けば虎丸がやってきてなぜか手伝うといいおばさまの方へ手伝いに行ってしまった。いや、私の手伝いはいらないからいいんだけど君は主役の1人でしょう、なんで君が料理作るの。とりあえず行ってしまったものはどうしようもないのでとにかくソースを作ってしまおうと、調理台へと戻った。

ソースもいくつか用意できたあと、何をしようか悩んでいたが、虎丸が押しきって手伝ってくれたため私はのの姉の所に行きケーキを作っていた。

ホント胸焼けしそうになるくらい甘ったるい臭いを部屋中に撒き散らしながら生クリームを混ぜたりチョコを湯煎にかけたり…

のの姉が土台をつくり、私が他の土台とデコレーションを用意してのの姉に合流。焼くのにも時間かかるしねこういうとき大きなオーブンがある弁当屋さんって素敵だと思うんだ。滅多に思うことはないけど。


そうこうしているうちに着々と出来上がっていく甘さ100%のこいつらに早く食べたいなぁと頬を緩ませる。ちなみに私はシフォンにアイス添えてあるヤツが一番好きです。



「…どう考えても時間が足りないよなぁ」


動かす手は止めずに小さくため息をついた。でも、ほらやっぱり食べてもらいたいから。もうちょっとだけ頑張ろう。


カシャカシャとクリームを混ぜていたら土台を作っていたのの姉がいないことに気が付いた。あれ?ちょうどその時一階から自分を呼ぶ彼女の声が聞こえた。

かき混ぜる手を止めずにゆっくり降りていけばそこには、以前お世話になった彼がいた。

「…えー…と…」
「久しぶりだな」
「あ、その節はどうもご迷惑おかけしました…?」
「急にお祝いするって聞いて俺も手伝おうかと思ってな」


爽やかに笑って作業に割り込んだ大柄な男の子に思わず顔がひきつった。

「すごいな、これ全部か?」
「あ、うん人数も人数だしね」


曰く、手伝いにきたという彼はたしかに驚くべき手際だった。

「おにーさん手際いいね…」

「…?ああ、慣れてるしな」

お菓子作りに慣れてるただのイケメンとか誰得。人気者だろこの人。

もんもんもん、とお菓子作りに専念しだしていくとあっという間に時間がすぎて慌てて虎ノ屋に向かった。

お兄さんが気づいてくれなかったら布団に突っ伏すところだった危ない。