練習後に食べるおにぎりを握ってほしい。そう秋から依頼があり、大きな炊飯器の前でそらは頭で素早くどう動けば効率が良いか計算していく。
「うーん…おにぎりねぇ……部員…1人いくつ?」
「普段は3つだよ」
「てことは結構握るね」
秋から聞いたところ今日はマネージャーが2人も抜けているらしい。そして夏未が頼めて秋を知ってるのは私以外いないので、仕方なく頼んだらしい。
うーん…最終手段なら仕方がない。あっちの許可は姉さんに取れてるなら問題ないし。まあおにぎり作るくらいなら造作でもない。中身の具材は特に無いらしい。えぇ、塩オンリー?首を傾げたが楽だし、塩むすび美味しいもんね、まあ良いかと準備だけをしてグランドに出る
「おー…精が出るねー」
「水鏡…」
ゆったりとした声に思わず脱力しかけた鬼道と風丸
やぁ、と片手をあげ大人しく眺めていれば渋々自分の練習にもどる。
先ほどしつこく円堂から、サッカーやろうぜ!と誘われた節があり円堂から一定の距離を保っている水鏡、普段はむしろくっついているので逆に違和感を感じる。
ゆるゆるとボールを片付けていく水鏡に近寄った一之瀬はサッカー出来る?と尋ねた。
「サッカーね…近所の子は凄く巧いけど…私は全然だよ」
「へぇ、この間のバスケは凄かったけど…」
「効率的に考えて」
あー…と覇気のない声でボールを地面に一之瀬が置くとコツンっと緩い音がなった
「ん…?」
「パス練手伝ってよ」
「えー…」
いつもながら面倒という態度を隠しもしない水鏡に苦笑。頼むよ、と一之瀬が言えば文句言わないでよ?と既に止まっていたボールを蹴る
「……」
「………」
(パス練ってこんなに無言でやるもんだっけ…)
(意外とムズいなあ)
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零