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 未来の記憶を得たヴァリアーの反応は様々だった。

 ルッスーリアさんには心配され、未来の自分に対抗し「わたしの事もルッスーリアで良いわよ」なんて言い始めた。
 レヴィさんは何かとわたしの事を気にかけてくれる様になった。最近、彼に修行を見てもらう事も少なく無い。
 スクアーロさんにはあの短剣のナイフホルスターを頂いた。どうやらわたしが話をした時点で直ぐにオーダーしてくれていたらしい。未来のスクアーロさんが言っていたのはこの事かと、その時初めて理解した。
 マーモンさんとは未来の話をした。わたしの肺が本当に戻っているかどうかも彼が確認してくれた。
 ベルは特に変わらない様子だった。いつもと変わらず修行をし、下らない話をする。だがそれが一番お互いに良かったのかも知れない。わたし達が現実を受け止める為にも。

 実は、過去に戻って来て最初に会った時からザンザスさんとは会っていない。最近ヴァリアー邸に居ない事が多いのだ。何かあったのだろうかと周りの人に聞いてみても、誰も行く先を知らないらしい。

「女の所じゃねえか?」

「へ……?」

 そう告げたスクアーロさんの言葉にわたしは気の抜けた声が漏れた。

「……成程」

「ちょっとスク!なまえの前で何て事言ってるのよ!!」

「適当に言っただけだろぉ!!実際の事は知らねえよ!」

 隣でルッスーリアとスクアーロさんが言い合っていたが、わたしは何となく腑に落ちてしまった。そうか、そうだよね、ザンザスさんも恋人くらい居る筈だ。恋人でない可能性も有り得るが……。わたしは心の何処か端の方で黒い靄が掛かったような気がしたが、気付かない振りをして彼等のやり取りをぼんやりと見つめていた。
 その様子を二人が静かに見守っていた事をわたしは気付かなかった。



 帰ってからも修行の日々は続いた。体を動かすだけでなく、歴史についても学んでいた。本来であればレヴィさんにボンゴレについてや、マフィアについて学ぶ日であったが、今日は違う話で盛り上がってしまっていた。

「そういえば、未来のオレはちゃんとボスの役に立てていたであろうか」

「勿論ですよ。とても格好良かったです。わたしも未来のレヴィさんと一緒に戦わせていただきました」

「……そうか。それなら良かった」

「未来のザンザスさんもとても素敵でした」

「当たり前だろう!ボスは何時だって最強無敵なのだ!」

 過去にあったレヴィさんとザンザスさんの思い出話や、未来での出来事を二人で散々話してその日は気付いたら夕方になっていた。未来から帰ってきてから、レヴィさんとは以前より親しくなれた様な気がしていた。わたしはそれが嬉しくて、つい彼とはザンザスさんの話を良くしてしまう。

「今日はほぼ雑談で終わってしまったが……」

「今度は修行する日じゃない時に続きのお話でもしましょう」

「うむ。そうだな」

 彼と共に談話室へと向かった。今日は取っておいたマカロンを食べると、ルッスーリアと約束しているのだ。わたしは少しだけ浮き足立って部屋へと急いだ。

「こんばんは」

「あら、お疲れ様。レヴィも一緒なのね」

「はい。終わってそのまま来ました。レヴィさんも何か飲まれますか?」

「ああ、エスプレッソで」

「伝えてきますね」

 わたしはメイドにエスプレッソ二つとアールグレイを一つ頼んで談話室へと戻る。そこにはベルやマーモン、スクアーロさんも談話室に来ていた。

「なんだか勢揃いしていますね」

「お前ら皆暇なの?」

「お前と一緒にするなぁ"!」

 彼等と共にゆっくりとした時間を過ごせる事がどんなに幸せな事か、わたしは身をもって体験している。目の前の光景に暖かさと幸福を感じた。

「じゃあ皆でマカロンでも食べましょう?本当は明日食べる予定だったけれどクッキーも持ってきます」

 わたしは部屋へと急いだ。その後ろを彼等が微笑ましく見つめていた事をわたしは知らない。
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