『よし、始めよっか』

「よろしくお願いします!遊乃先生!」

『先生って器じゃないよ…で、どれが分かんない?』

「んっと、この問題が分かんないんだけど…」

『あぁ、これは―――』


何故カエデに勉強を教えているのかというと、数分前に殺せんせーが入ってきて突然何人もの分身を作りなんの説明も無しに「始めましょうか」などと言ったもんだから、きっと生徒達の心の声は一致しただろう。何を?…と。

中間テストが迫ってきているため、高速強化テスト勉強を行うとのこと。分身がマンツーマン指導で生徒達に苦手強化を教えるらしいが、私に関しては学力があるため、教える側にたって欲しいと言われた。

そこで自ら懇願してきたのが、カエデと言うわけだ。勿論断る理由など無い、あそこで断っちゃ男が廃る。男じゃないけど。そして冒頭に至る。



少しした頃、いきなり、うわっ!!という驚いた声に顔を上げると、殺せんせーの分身すべての顔が変に歪んでいた。

犯人は……カルマか。ナイフを突き刺しながらもペロッと舌を出し、反省する素振りなど微塵もない。まったくカルマらしいっちゃ、らしいが…


賑やかな雰囲気や光景に思わず、ふふっと笑ってしまう


『こんな分身して、体力…持つんです?』

「ご心配なく 1体外で休憩させてますから」

「むしろそれ疲れない!?」


頬杖をついて楽しそうなクラスを眺める。これがエンドのE組…か。昔を知ってるわけじゃないが今このクラスは多分、どの学年より楽しそうだと思う。


「遊乃ちゃん、楽しそうだね」



目の前のカエデに優しい顔でそう言われた。あぁ、まぁ、確かに楽しいね。皆、無邪気だし……。私と違ってね。


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