―中間テスト当日―
コツ コツ コツ
コツ コツ コツ
一定のリズムで発せられているこの音は、何かを書いている音ではない。見張りの先生が、指を供託にぶつける音だ。
私達がE組だから、だろうな。露骨に集中を乱しにきている。
『(…ったく、ガキかっつの)』
「E組だからって、カンニングなどするんじゃないぞ。俺達、本校舎の教師がしっかり見張ってやるからなー」
露骨な嫌がらせに加え、名門校のテスト問題。
こりゃあ大変だわ。でもきっと大丈夫。あのマッハ20の先生が、今まで気合を入れて教えてきたんだ。大丈夫じゃないわけが…ない。
あぁ、ほら、空気が変わった。皆落ち着いて、殺せんせーが言っていたことを思い出したのか、次々と問題を解いていく。きっと目の前の先生は "こんなはず" じゃなかったのだろう。
急に、焦り出し生徒達を見渡す。
そんな教師の様子を内心笑いながらも順調に解き進めていくが、1つの問題で手が止まる。
問11―――この問題以降、教えられたテストの範囲外である。
一応私も殺せんせーから予習プリントなどを貰ってはいたものの、どのプリントにもこれ以降の公式が用いられる例題は載っていなかったはず。
その証拠に、絶え間なく聞こえていたシャーペンの音も、ものの見事に消え去っていた。
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