明かりに照らされ顔が見えてきたのは、ボコボコに殴られ意識の無くなった1人の男。


思わず笑いが零れそっと男から離れる。私の出番はもうお終りだし。カエデ、神崎さんの縄を切り大丈夫かと問いかけ2人が頷くのを確認したとこで、戸惑いまくる雰囲気の中、響いた声は…


「修学旅行のしおり1248ページ、班員が何者かに拉致られた時の対処法。犯人の手がかりがない場合、まず会話の内容や訛りなどから、地元の者かそうでないかを判断しましょう。
地元民ではなく更に学生服を着ていた場合1244ページ

考えられるのは、相手も修学旅行生で…旅先でオイタをする輩です」


修学旅行のしおり片手にニコリと笑う渚達だった。ひょこっと渚達の後ろから顔を覗かせる奥田さん。良かった無事だったのね。

ふふ、王子様方のご登場ってわけだ。渚達だと分かった途端バッと立ち上がり笑顔になったカエデ。


「皆!!!」


相当に嬉しかったのだろう、今にも走っていきそうな勢いだ。だがまだ油断は出来ないので一応カエデと神崎さんを後ろ手に隠す。

来るはずがない、来れるはずがない。そう考えていたのであろう男は、数歩後ずさり冷や汗を流している。


「なんで、ココがわかった…!?」


確かにもっともな質問だ。だってエスパーでもない限り分かるはずがないのだから。そしてそれに答えるかのよう続ける渚。


「土地勘のないその手の輩は拉致した後、遠くへは逃げない。近場で人目につかない場所を探すでしょう。その場合は付録134へ」


バサッと渚は私達に見えるようしおりを広げた。


「先生がマッハ20で下見した…拉致実行犯、潜伏対策マップが役立つでしょう」

「「すごいなこの修学旅行のしおり!カンペキな拉致対策だ。いやー、やっぱ修学旅行のしおりは持っとくべきだわ」」


目が点、とはまさにこのこと。普通はあるはずがない…修学旅行のしおりに“拉致対策“の項目など。


「…で、どーすんの?お兄さん等、こんだけの事してくれたんだ。あんた等の修学旅行はこの後 全部入院だよ」


殺気を放ち今にも飛び掛りそうな勢いで、額に青筋を浮かべてるカルマ、ありゃ相当キレてるぞ。プライド高そうだもんなカルマ……


「………フン、中坊がイキがんな」


ドカドカドカドカ!!
突如、扉の外で聞こえたその音に、今度こそ仲間だと確信したのだろう。優位に立ったかのような表情をする男。


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