「やっほー遊乃ちゃん」


ふいに後ろから腰に手が回り、シャンプーの良い匂いと同時に肩に少しの重さを感じる。

振り向かずとも誰なのかは一目瞭然。もう流石に慣れたよお姉さん。


『……カルマ』


まあ、振り向こうとも肩に顎を預けられてるので出来ないのだが…。


「…遊乃ちゃん、すげぇ良い匂いする」

『お風呂、入ったからね』

「ふぅーん、ねぇ知ってる?遊乃ちゃん気になる女子ランキング1位だったんだよ?」


いや待て待てお前ら何してんだ…いや、中学生らしいっちゃらしいのか?まぁ、でも、


『それは素直に嬉しいわね。こんな得体の知れない女が気になるなんて不思議だけど。神崎さんが1位でもおかしくないのに』


くしゃっと前髪をかき上げる。何故私なんかが1位なのだろう。枠外でもおかしくない。


「2人とも1位だったんだけど、俺の答えで変わっちゃったんだよね〜」


……それは、つまり、あれか。肩越しに欠伸をしているカルマは、私が気になる女子って言いたいのかそうなのか。


『へぇ、物好きなんだね』


決して照れ隠しではない正真正銘の本心だ。ふあっとカルマの欠伸がうつる。スルリとカルマから抜け出し向かい合った。

ぐっと、数ミリで鼻が触れるまでの距離に縮め、呟く。


『体術の訓練ならいつでもしてあげるわよ、じゃ、おやすみカルマ』


ひらひらと手を振り寝室へと足を進める。今日はやけに疲れた。あんなことがあったからだけど。さっさと寝るに限るわ。


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