―明日から転校生がひとり加わる。多少外見で驚くだろうが…あまり騒がず接して欲しい―


烏間からきたメールを見ながら登校する。
外見で驚くだろうが…か


『……機械でも来たりして』


流石にんなわけないか私も平和ボケしたかしら。長い山道を抜けやっと見えてきた校舎。中に入り廊下を歩いていると渚達を見つけた。挨拶を交わし一緒に教室に入る。


「さーて来てっかな転校生?」


皆も楽しみなようで、ニコニコと勢い良く教室のドアを杉野くんがあけると、そこにはなんとも存在感のある物体が1つ。そう、物体…。それを目にした他のみんなは、あんぐり顔。


『…わぁー』


それもそうだろう。転校生はなんと私の平和ボケした思考通り機械だった。

プッ…と音がしたと同時に無表情の可愛らしい女の子が映る


「おはようございます。今日から転校してきました。"自律思考固定砲台"と申します。よろしくお願いします」


と、自己紹介が終えるとプツッと画面が暗く消える。隣の渚を見ると唖然としている。これが当然の反応だろうな。

まさか私も、うん、まさかだ。なんとも反応し難い。だが、れっきとした生徒であり殺せんせーは契約通り危害を加えることは出来ない。


皆が皆、自律思考固定砲台に興味津々だ。
そしてついに待ち望んでいたであろう攻撃の瞬間、ガシャッと名前の通り派手な音と共に砲台が現れた。

次の瞬間、ものすごい弾幕を後ろ向きの殺せんせーに向かって放つ。その弾幕の凄さにさすがの私も感心する。

だが殺せんせーはいつものニンマリ顔で、弾をチョークではじいたりと華麗に全てを避ける。1回目の弾幕攻撃が終え、授業中の発砲は禁止だと殺せんせーは伝えるが、自律思考固定砲台は続けて攻撃に移りますと聞きもしない。

そして2度目の発砲。先ほどと同じように避け、また同じようにチョークではじく。だが同じではなかった。バチュッと指先がはじけた。その光景に皆が目を見開く


『……ブラインド(隠し弾)』


流石は世界最新といったところだ。自己進化する固定砲台。ほんの少しずつだが殺せんせーにも焦りの表情が見えてきた。

…だが問題が2つ
1つは、なりふり構わず弾が飛んでくる

2つ…
床に散らばった何千、いやそれ以上あるであろう対センセー用BB弾を見つめ愚痴を言いながらも片付ける生徒達

この2つだ。

その日1日はこの繰り返しだった。


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