「クラス対抗球技大会…ですか。健康な心身をスポーツで養う、大いに結構!…ただ」


ただ、トーナメント表にE組という文字は記載されていなかった。理由は本戦には1チーム余るという事でエントリーはされない…その代わりエキシビションに出なきゃいけないらしい。

つまりは、見せ物。全校生徒が見ている前で男子は野球部の…女子は女子バスケ部の選抜メンバーと試合させられる。

トーナメントで負けたクラスも、E組が負けるのを見てスッキリ終われる上に、E組に落ちたら恥じをかきますっていう警告にも、なるらしい。


トーナメント表を折りたたみ、くだらないと呟いて机にしまった。片岡さんが暗殺で体力着いてるし、全校生徒盛り下げるよー!と気合を込めていた。

そんな片岡さんと目が合うやいなや、近くに寄ってきてこう言われた。


「姫龍さん、期待してるからね!」

『えっ…私バスケしたことないよ?』


その一言に彼女は目を見開いた。まあ、それはそうだろう。19年生きてきて、バスケットボールをしたことがないなど普通では考えられない。驚くのも当たり前だ。


「う、嘘…」

『ごめん、本当。ルールもなんとなくしか知らない。教えてくれたら出来ると思うから片岡さん、よろしくお願いします』


苦笑いを零しながらぺこりと頭を下げた。そして見上げた彼女の顔はニッコリと笑っていて、任せて、とまた笑った。頼りになる。流石イケメグと言われるだけあるな。


その日の放課後は早速練習だった。女子数人の私。そして何故かカルマが観客になっていて、目が合うたびヒラヒラと彼は手を振った。


一通りルールを聞いて把握する。実戦してみようかという話になったが、メンバーが足りないので無理だなと、そんな流れになったが


『いいよ、私一人で。あとは片岡さん達チームね』

「え、いやいや!流石にそれは…!」

『まあまあ、やってみよ』



―カルマside



わーお。遊乃ちゃん、すっげー。1人なのに圧倒的にゴールに決めていく。何人かがブロックに回っても、少しぎこちないが華麗にスルーしてるよ。


あ、また入った。


「はは、遊乃ちゃん強すぎでしょ。楽しそー。俺も入ろっと」



『ぅ、おッ!』


中村さんからボールを奪い、ゴールを決めようとした、その瞬間…赤がそれを奪った。


『ちょ、カルマ!?』


高く飛び上がり、そのままゴールインするカルマ。
かっくいいー…。じゃなくて!


「だって遊乃ちゃん、強すぎでしょ。中村さん達が可哀想だよ」

「いやぁ、参った参った!ほんとに強すぎるわ」

「手も足も出なかった…」


それぞれに苦笑いを浮かべ、ヘナヘナと座り込む。けど片岡さんは、違った。


「これは、もう、勝てる予感しかないんだけど!」

「遊乃ちゃんすごいね!」


そんな期待の眼差しで見られてもなあ…。あんま目立つ気もないし。程々にサポートに回るよ、なんて、嬉しそうに話す彼女達には、どうも言えなかった。


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