結局、さんざん遊んだあとメヘンディアートはみんな落とし授業を受けた。
終わりのチャイムが告げると同時に勢い良く開いたドアの先、立っていた人物は私と目が合うなりそばにきて腕を掴み連行された。
『ちょ、ちょちょ!イリーナっ…!?』
「この間の約束よ」
『…このあいだ、って、……あぁ、飲もうっていう』
「行くわよ」
『行くわよ…つったって私制服よ!?』
その言葉にやっと止まったイリーナの足。目の前には真っ赤なスポーツカー。うん、すっげぇイリーナっぽいわー。ピピッという音が響いたかと思うと助手席を開け、無言の圧力。
ワカリマシタ、ノリマス。従イマス。仰セノママニ。
◇◇◇
「…違う……これも、違う……ん、コレだわ。遊乃、着て」
『着て…って、言われて、も』
「着なさい」
『ハーイ、仰セノママニ』
「私は〜、…コレにしようかしら」
そそくさと、試着室へ入って行ったイリーナを見送り、私も入った。イリーナが選んだ服を持って…。
「あら、良いじゃない。やっぱ私が選んだだけあるわね」
『〜〜っ』
「何恥ずかしがってんのよ。似合ってるわよ」
黒のドレス。胸元は大胆に開いており、ウエストのラインが綺麗に出ている。足元はドレープになっておりイリーナのセンスらしいドレスだ。
『あ、ありがと――』
「あとは…そうねぇー」
顎に手を当てしばらく、棚の上にある髪飾りを見つめる。そして紫の小さなバラの髪飾りを持つと、私の髪を少し捻りあげ髪飾りで止めた。
「完璧」
なんだかんだ、支払いを済まされ服と髪飾りはプレゼントだと言われ車に押し込まれた。その後は、もう、…察してくれ。
イリーナ行き着けの店で、飲むわ飲むわ飲むわ!酒乱かと言うほど飲み明かし、家に着いたのはもう朝方だった。
部屋に入るなりドレスを脱ぎ捨て、ベッドにダイブしたい気持ちを押し殺す。押し殺して押し殺して、ドレスをハンガーにかけ軽くシャワーを浴びた。
『つっかれたぁ〜っ!!』
多分、数分も経たぬうちに私の意識は飛ぶであろう。あーぁ、どうしよう…私幸せだよ。楽しいよ、この、平凡で少し…変わった......今、が―――
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