『…ぅう〜、あたまいた』


完全に、二日酔いだ。バカみたいに強い酒をガバガバと何十杯飲まされたんだから当然っちゃ当然か…。最悪の寝起きに頭を抱え、とりあえず起きる。冷蔵庫から冷えた水を取り出して、ベッドに戻ると、そのまま蓋を開けこくりと喉を潤す。


そこでやっと私は、こう、思った。


『…...いま、何時...?』

「PM14:35分54秒です、遊乃さん。今からすぐに支度したとして…全速力で走って行っても最低15分はかかります。最後の訓練の授業にはギリギリ間に合いますが、どうなさいますか?」

『......いや、いい。烏間にメール入れといて』

「承知しました」


痛む頭を押さえベッドに倒れ込む。イリーナめ、恨むぞまったく。けど楽しかったのも事実...当分は行きたくないし酒も見たくないくらいだけどね。

この溜息と一緒に頭痛も吐き出されないかな。ゆっくりと襲ってきた眠気に、身を委ねようと目をつぶったところで


ピリリリリッ


電話がそれを邪魔した。指を動かすのも億劫で、律、と一言呟いた。分かってくれた彼女は自動で電話に出てスピーカー機能をオンにしてくれる。


『はーい、どちらさん』

「私よ。イリーナ」

『.........』

「あなた今日、来なかったわね」

『逆にイリーナは行けたのね』

「当たり前でしょう。私を誰だと思ってるのよ」

『はいはい、で、どうしたの?』

「今夜...付き合いなさいよ」


絶句。冗談でしょ、イリーナ姉さんあんた元気だなオイ...。私ゃ流石に「まさか昨日ので潰れた、なんてことないでしょうね?」...まさにその通りだよちくしょう。あんなカパカパ飲んだんだぞ!


「...あのタコに、遊乃が赤羽業を好『どこへでも付き合わせてもらうわ』今すぐ準備なさい」


プツッと切れた電話に私もプツッとしそうだよ。


『律〜、私ん家に酒なら多少あるから...家にそのまま来てって伝えて。イリーナが飲みたがってたワインもあるわ』

「ふふ、了解です」

『はぁ〜...私今日で何回ため息ついたかな』

「今ので11回目になります」

『...親切にどうも』



◇◇◇



その後イリーナが帰って行ったのは、朝の5時過ぎだった。食器もそのままにベッドに項垂れる。律、烏間、寝る。その単語だけで全てを理解した律は、はいと一言返事をしておやすみなさいと、微笑んだ。

イリーナの言っていた"大男"、なんだか少し引っかかるが眠気には...勝てませんよね、神様。


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