家に帰り、ご飯を食べてお風呂も済ませた。つまりしなきゃいけないことは特に無く、暇になったわけだ。矛盾しているが暇になったということは、しなきゃいけないことがある。
思わず出てしまったため息に、苦笑を零す。携帯を取り出し目当ての人物に電話をかける。三コール程で出た人物は、電話越しにでも分かる程にご機嫌だった。
『…お久しぶりです』
「やっほー」
『で?カルマの言う通り、暇になったから電話したけど』
「ん、暗殺やってるって本ト?」
『…聞いたんだ。本当だよ』
「防衛省のやつらからね。標的がすごいらしいじゃん」
『ふふ、そうだよー。すごいよ、あの先生』
「…楽しそうだね」
『楽しいよ。先生のおかげで初めて学校を楽しいって思っちゃった』
「ふーん。ま、俺が殺しちゃうからごめんね。前のやつは勝手に死んだし」
『……ねぇ、カルマ…、』
「なに」
『英語教えて!今課題やってるんだけど一問目で詰まっちゃった。今日なんか頭痛いから答え教えてくれたら嬉しいなぁ…』
「……はぁ、問題文読んで」
『さっすがカルマ!』
そう言ったからには読まなきゃ仕方が無い。急いでカバンからプリントを取り出す。きっと私が何かを言おうとしたってのはカルマにはバレてる。それを誤魔化して問題のことを言ったのも。
教えてくれている内容を半分聞き流しながらも、ちゃっかり答えだけは書き写す。考え事しながら回答聞くって難しい。私、同時進行苦手なんだよね。
―――プリントを全て(カルマが)解き終え、ぐっと背伸びをした。
『ありがとう!助かった!』
「どういたしまして」
『いつから登校なの?』
「明日だよ」
『あ、そうなんだ。……まぁ、私は好きだよ殺せんせー』
「殺せんせー?」
『あぁ、殺せない先生だから殺せんせーって茅野さんがつけたんだ』
「なるほどね、殺せない先生かぁ。男?」
『そうだよ!未だに誰もダメージすら与えられてない。男の人、なんだろうけど…タコ……かな?』
「タコ?……へぇ、明日が楽しみ」
『ん。カルマ、多分あの先生は違うよ』
「……それは俺が決める」
『それもそうだね。そろそろ寝るよ。英語ありがとね』
「どういたしまして。おやすみ理乃」
『ん、おやすみなさいカルマ』
通話を切った瞬間に出たため息は、今日一番深い。項垂れるようにベッドへと倒れ込み、枕に顔を埋めた。どうなることやら……明日からカルマが登校。先生はもちろん分かってるはずだよなぁ、きっと今頃カルマは色々と作戦を立てているに違いない。いや既にもう何個か考えているかも。派手なこと起こさなきゃいいけど……
無理だろうなぁ……カルマだもんなぁ、
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