答えなんてサッパリ
待つこと約一時間。遠くでガサ、なんて音がした。揺れた肩や体は正直で、飛び跳ねた心臓はドクドクと大きな鼓動を響かせている。
じっと音がした方を睨むように見つめていれば、出てきたのは猛獣……ではなくなんともガタイの良いおじいさんだった。
「ガープ……さん?」
「おぉ?なんじゃ、ワシを知っておるんか?」
豪快に森から出てきたおじいさんは、狙い通りガープさんだったらしく、あまりの怖さに少し言葉に詰まる。あぁ、でも言わなきゃルフィに会えない!!
「……ルフィのところに連れてってください!!」
「……ぶわっはっはっ!!突然じゃなぁ!!お前、ノーラとやらか?」
「え!?あ、はい。ノーラ・コットです!」
目前まで来たガープさんは見上げるほどの高さで、首が痛い。こんな元気で強そうなおじいさん初めて見た。
「ルフィが言っておったのはお前さんのことか。そうかそうか……連れて行ってやってもいいぞ?」
「本当!?」
「だが、条件がある」
ニンマリと笑ったガープさんは、人差し指を立ててそう言った。とんでもない条件だったらどうしよう?……その時はパパに頼もう。
「その、条件ってなんですか……?」
恐る恐る聞けば、ガープさんは私の目線に合うよう膝を折り、口を開いた。
「ルフィに海軍になるよう説得してくれんか」
「え……?」
「いやぁ、ワシの言うことなど聞きやせん。お前さんには懐いておったようだし、どうじゃ?」
「あ、はい、がんばってみます……」
そんな事でいいのか……?というか、私から言っても絶対無理だと思うけどな。数日しかルフィと接していないが、彼はなかなかの頑固で負けず嫌いで意地っ張りということが分かった。たった数日でだ。
けどここで断れば、会える術を失ってしまう。頑張りますと頷けば嬉しそうに笑ったガープさんは、私を肩車して来た道を戻る……すごい、パパより高い!!
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