空より高く
「すごい!パパより高い!」
「ぶわっはっはっは!そうかそうか!」
「お前さんの父親、ノルチマじゃろう?」
「パパと知り合いなの?」
「まぁ……昔ちとな」
世間は狭いってのは、このことか「ふーん、そっか!」なんて軽く流したが、次パパに会ったらガープさんのことを聞いてみようという事で頭がいっぱいだった。
「この道、覚えとくんじゃよ。一番安全な道じゃ」
「はーい!」
なんて雑談もそこそこに暫く肩の上でいると、小屋が見えてきた。ゆっくりと肩から下ろされ数回ほど頭を撫でられる。中からはガイガイワヤワヤとなんだか賑やか。
ガープさんがドンドンと、何回か勢いよく扉を叩けば派手な音を立てて出てきた、これまたガタイの良い女の人。
「げ!?ガープさん!!またあんたかい!?おいおい、まさか次はその嬢ちゃん預かれってんじゃぁないだろうね!?」
「いんや、ちげえよ。ルフィに会いに来たんだとよ」
「はぁ!?」
ギッと睨まれたことに、ビクリと肩が揺れた。でも多分悪い人じゃない、と思いたい。ガープさんの知り合い?だし……。
「ノーラ・コットです!!」
「コット?ノルチマのガキか?」
「(パパ……ガタイの良い人の知り合い多いのかな)」
「じゃ、ワシはこれで。帰り気をつけるんじゃぞ」
「あ、ガープさんありがとう!」
ひらひらと手を振り去って行くガープさんの後ろ姿を眺めていて、気づく。ダダンさんと二人きり……。恐る恐る振り向けば、いまだに私を睨んでいるダダンさん。
「ルフィに会いに来たって言ったね」
「あ、はい」
「だったら帰んな。あいつはこれから掃除洗濯靴磨きに武器磨き。窃盗略奪詐欺人殺しに忙しいんだ。それとも代わりにあんたがするかい?」
「……掃除と洗濯、料理に靴と武器磨きなら出来ます」
「は?」
「きっちりするので、ルフィに窃盗略奪人殺しをさせないでくださいお願いします」
ペコリと頭を下げた時だった。ダダンさんの後ろから少し高くて、鋭い声が響いた。
「邪魔」
「あぁん!?」
扉から出てきたのは同い年ほどの、鉄の棒を持った男の子。すれ違いざまに目が合い、軽く頭を下げるがほんの少し目を見開くだけですぐさま睨まれて彼は視線を逸らした。
「出かけるのかいエース!!」
「…………」
「チッ、あのクソガキゃ」
…今日はよく睨まれるなぁ……。
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