おはよう、朝日。



小さな物音で、目を開く。体が痛い、なんでだ、なんて思ったら、ああ、そっか私玄関でルフィ待ってたらそのまま寝ちゃったんだ。まだ早朝、誰も起きておらず、昨夜の晩が嘘のように静まり返っている。


「帰ってきたかな、ルフィ?」


そっと、そっと、中で寝ているであろう人物を起こさないよう扉を開く。うん、ルフィは居ないから帰ってきてないということ、どうしよう、本当にどうしよう……!

息を飲んで、なるべく音を立てないよう家を出た。探しに行かなきゃ、怪我してるかもしれない!襲われてるかもしれない…!焦って走り出したが、徐々に足はスピードを落とす。


「(……私が行ったところで、どうなる?)」


もし、ワニが出たら?クマやトラが出たら?ルフィを見つけられたとしても、猛獣に見つかれば私に出来ることは……何も、ない。それに、帰ってこれるかも分からない……あぁ、私ってこんなにも、無力で弱かったんだ。

悔しさに弱さに、思わず唇を噛み締める。どうする?どうしたらいい?考えろ、考えるんだ私……!ダダンさんたちが助けに行くとは考えにくい、それじゃぁエースに頼む?いや、絶対に助けになど行かない。


「……私しか、いない」


確か家の裏に廃材置き場のようなものがあったはず。……あった!エースが持ってるような、鉄の棒。これがあればまだ、どうにか出来るかもしれない。ほんの少しだけなら、パパから教わったことがある。

まだ朝だし、昼までに帰ってこられれば、なんとかなる。震える手のひらを無視して、ぐっと強く棒を握る。大丈夫、大丈夫やれる、やれるよノーラ。

広間に置き手紙を残し、家を飛び出した。



ALICE+