こんな初体験、望んでない。



暫く走ったところで、顔を歪めた。なんだこの崖……?こんなの登れっこない。ルフィはこの先?先なんてあるのか?いや、考えてる場合じゃない。まだ登りやすそうじゃないか。

近くの尖った石を拾って、スカートの裾を破り、ギリギリまで上げて端の方でくくった。これで少しは動きやすいはずだ。ツルを拾い棒にくくりつけて、背中にかけ登り始める。
なんとか登りきり、下を見てゾッとした。


「お、落ちたら死ぬ……!」


そんな高さを登ってきたと考えて、自分に引いた。や、やろうと思えば出来るもんなんだな……二度とごめんだけど。



◇◇◇



「ルフィー!……ルフィ!どこー!」


もう、どれほどの時間が経ったのか喉が乾いてきた。何故、水を持ってこなかったのか心底自分を恨んだが、後先考えない私の悪いところだ。今朝はそんなこと頭の隅にもなかった。……川、あるかな?いや、あるはずだ。動物……猛獣が住んでるのだから、水の一つや二つないと彼らも生きられはしない。


「私って、運いいのかな……?」


一年分の運を使ったのかと思うほど、あっさり川は見つかり安堵する。喉の乾きから自然と小走りになる足を、私は止めざるを得なかった。何故って、川の中で呑気に泳いでいる存在に気づいてしまったから。


「(やっぱり運いくない!!!)」


三、四匹ほど、泳いでいる大きなワニは幸い私には気づいておらず、数歩川から遠ざかった。よし、違う所に行こうそうしよう!このまま川沿いを歩いてったらワニがいないとこもあるはず!!ないと困る!!本当に!!



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