突然の再開



「良い衣装も見つかったし、宿に戻って準備しなきゃ」

「ん」


衣装が入った箱を持ち直し、歩き出す。宿まではそう遠くない、近くもないが……。「重くない?」そう私に聞いてくれたラティ。頭一個分程上に顔を傾け、笑顔で「大丈夫、ありがとう」と答えた。
ついでに買っておいた食料の荷物も、ラティは両手に持っているのに、更に私の荷物まで持とうとするのを丁重にお断りする。

談笑しながら、曲がり角を曲がれば突然の衝撃が私を襲った。よろけた体をすぐに片腕で支えてくれたラティ。こぼれ落ちたリンゴを風で袋に戻し、声を上げた。


「「わりィ! / すみません!」」


重なった声に何故か懐かしさを感じて、視線を前へ向ければ大きな瞳とかち合う。その瞬間ドクンと心臓が波打った。……なに?

麦わら帽子に赤い服を着た、同じ歳くらいの男の子。初めて見るはずなのに、どうしてこんなに胸がざわついているんだろう?
ふいに彼の視線が、ほんの少し横へズレたと思えば、ぎゅるると腹が鳴った。


「……えっと、食べます?」


リンゴを一つ、ラティの持ってる袋から取り差し出せば、横からため息が聞こえたがキニシナイ。


「いいのか!?腹減ってたんだよ!、お前いいやつだなぁ〜!」

「あのな!ノーラは優しすぎるんだ!この男が危ねぇやつだったら、どうするんだ!」

「な!失礼だな、お前!オレは危ねぇやつじゃねぇぞ!」

「ハッ、どうだか?男は大抵そう言うんだよ!」


私を庇うように前へ出たラティの口を、後ろからそっと覆った。こんなに過保護なのも理由があるわけで、まぁ、昔のこともあるが、何度かこの手で襲われそうになったことがある。
私が能力を使う前に全てラティが倒したけどね……。


「ごめんなさい、悪気はないの」

「ちょ、離せ!あのな!オレは」

「分かってるよ。私を守ってくれてるんでしょ?ありがとうね」


こっちを向いて眉根を寄せているラティの頭を、ゆっくり撫でた。何を言っても無駄だと分かったのか、大きく溜息を吐き出し視線を逸らした。



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