思い出さない、
「この子に悪気はないの」
「んや、分かってるよ。お前のこと大好きなんだな!」
「……ありがとう。あの、名前を聞いても?私はノーラ・コット」
「ノーラ・コット……!?お前!俺だよ!おれ「そうだ忘れてた、行かなきゃいけないとこがあるんだった!悪い麦わら帽子、オレ達もう行かなくちゃ」 あ、おい!!」
「ちょっと、ラティ!?ちょ、あ、ごめんなさい!」
突如、麦わらさんの言葉を遮っては、私を引きずるように腕を引き、その場を立ち去る。様子のおかしいラティに何度も声をかけるが、無視して走るばかり。
「ねぇ、ちょっと……ラティ!!」
足に力を込め、一際大きく名を呼べばやっと止まってくれたラティ。肩で息をする私と違い、何一つ息を乱していない後ろ姿を見つめる。
「急に、どうしたの」
「……ごめんノーラ。なんか、嫌な予感がしたんだ」
「嫌な予感って、別に悪そうな人じゃなかったよ?」
「それは、わかってる。そうじゃなくて……」
腕を離し、後頭部をかくラティに私はクエスチョンマークが浮かぶばかりだが野生の勘を信じようじゃないか。麦わらさんとはまた会うような、そんな気がする。今日一日この街に泊まる予定だしね。
「……怒ってる?」
「ふふ、まさか」
腕を組んで歩けば、しゅんとした表情から一変してニコリと笑った。さあ、宿までもう少しだ。
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