毛布と夜空とドア。



まだ全身の痛みは引かないが、ダダンさんがお粥を作ってくれた日から二日後。歩けるようにまで回復するのに、計七日。包帯姿が生々しいと言われたが、いつまでも寝ているわけもいかない。

こんな状態で家に帰れるはずもなく、結局ずっとダダンさん宅にお世話されている状況だ。最早部下の方々には「住んじまえ!」などと言われるが、そうもいかない。そうしたいのは山々だけど、このフーシャ村にいれるのも一年。

父と母も一ヶ月に一度は、私の様子を見に帰ってきてくれる。私の故郷に私を残しておいても良かったのだが、我儘を言って連れてきてもらった。パパの故郷このフーシャ村なら、一ヶ月に一度という暇を見つけて帰ってこれるからだ。

パパの母親のおばあちゃんもとても優しくて、何日か友達の家へ泊まるとでんでん虫で伝えれば心配されたが快く承諾してくれた。少し心が痛んだけど、ルフィが帰ってくるまでは帰られない。何度も言うがこの怪我の状態というのもある。


あれからなんの心境の変化か、エースからごく稀に挨拶などしてくれるようになった。話しかければ、ぎこちなくだが会話もしてくれる。その様子を見たダダンさんやマグラさんドグラさん、その他もろもろは口をあんぐりさせ驚いていた。


晩ご飯も食べ終わり、星が輝く時間。毛布を引っ張り出し、玄関の外で座り込みルフィの帰りを待つ。


「(今日で七日目。このまま帰ってこなかったら……)」


そこまで考えて、首を振る。私が信じていないでどうするんだ。弱い私じゃ、探しに行けない。行ったってこのザマだし、それならもう私は信じて待つしか出来ないんだ。

膝を抱え頭を埋める。遠くから聞こえた小さな足音に、エースがお風呂から上がったんだと悟る。顔を上げれば目が合って口が開かれる。


「……怪我人が何してんだよ」

「ルフィ待ってる」

「……あっそ」


ドアに手をかけたところで、名を呼び引き止めた。


「あ、あのさ。なんで、あの時助けようとしてくれたの?というかどうしてあそこに居たの?」

「はぁ!?別に助けようとした覚えはねぇ!!たまたまだよ!たまたまおれが行く方にお前が歩いて行っ……クソ!」

「ふ、はは!エースってほんと、優しいんだね」

「やさ!?気持ちわりぃこと言ってんじゃねぇ!!バカかてめぇッ!!」


クソッと投げ捨て今度こそエースは、家へと入って行った。ほんの少し……エースと距離が縮まったと自惚れてもいいだろうか。



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