帰宅と即寝と安心。



外で待つこと、数時間。お尻は痛いは傷は痛むは、瞼は重いは。もう何度意識が飛びかけたか数えるのも面倒だ。

このままここで寝てしまおうか……
小さく響いた扉の開く音に、落ちる寸前の意識だけがぼんやり、誰かが出てきたぞと脳へ知らせる。

もう瞼は、完全に閉じている。溜息が聞こえたかと思えば、抱き上げられた体。触れている手は小さくて、細くてドグラさんかと、起きたらお礼言わなきゃ、とそこで意識はもう完全に途切れていた。

だから舌打ちを零して、布団に下ろしてくれたのがエースだったなんて予想打にしていなかった―――


―――ワンッ!ワンワンッ!!と酷く激しい鳴き声に、目を覚ます。あれ、なんで布団に?と思ったがそういえば、確かドグラさんが運んでくれたんだと思い出す。

に、しても……。

"ワン!!ワンワンワン!!"

どうしたものか、ずっと鳴いている。鳴き止む気配が無く、欠伸を一つ零しながら部屋を出た。玄関に近づくにつれ鳴き声は大きくなり、ドアを開けば目を見開いた。何故って、


「ルフィッ!!!」


服は所々破け、傷だらけのボロボロになったルフィが息を切らして立っていたから。良かった、帰ってきた、本当にルフィは帰ってきた!!涙が滲んで歪む視界を無視して、思わずルフィに抱きついた。力なく笑ったルフィは疲れきっていて、怪我の手当をしなきゃと我に返る。


いまだに吠えたままの声に、ドグラさんが寝ぼけた様子で出てきたかと思えば、私と同様ルフィの姿を見て驚きの声をあげた。

ドグラさんに叩き起されたダダンさんが、今まで何してたんだと問えば、なんと谷底で狼に追っかけ回されてたと。……いや、本当……よく無事だったなルフィ……。


「る、ルフィ……怪我の手当て、」

「ったくお前は!!」


私の言葉を遮り、ぐんぐんと近付いてきたダダンさんは、ルフィの首根っこを掴んで家へと入る。急いで後を追うとエースが寝ている寝室の扉を派手に開いた。

そして、投げた。……文字通り、私が寝ていた布団の横に放り投げたのだ。隙間から救急箱を持って部屋に滑り込む。「ここで寝な!!」と扉を閉め二秒で寝てしまったルフィに、私とダダンさんの声は重なった。


「「はやッ!!」」



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