好奇心の塊



怖いお兄さん方をものともせず、ぐんぐん先へ進みながらエースを探すルフィに、私は一人焦って慌てて追いかける。

何かを見つけたように、麦わら帽子を深く被り直して笑ったルフィは走り出した。


「え、ちょ、待って!!」

「エースを見つけた!」

「あぁ、もう!!どうとでもなれ!」


疲れたなんて言っていたら、ルフィにはついていけない。だったらもう、彼のように全てを楽しもうじゃない。そう考えれば自然と笑顔が浮かんで、遠くなるルフィとの距離を縮めようと足を動かした。


「(やばい見失った)」


出遅れたことが原因もあるが、そもそも足の速さが違う。運動神経はそこまで悪くないはずだがルフィやエースに比べたら、きっと桁違いというやつだ。

急いでルフィが行った方へ走る。すると、遠くから聞き覚えのある声を耳が捉えた。


「えぇ〜〜!?……でくれぇ!!たすけ……!!……!死にたく……よぉ〜!!」


途切れ途切れ聞こえてきた単語に、私の脳は嫌な想像を数個思い浮かべる。見えてきた光景に、少しの安心と戸惑い。


「サボ!さっさと殺れ!」

「何言ってんだ!お前が殺れよ!」

「おれは人なんか殺したことねぇよ!!」

「おれだってねぇよ!!やり方わかんねぇ!!」

「まてまてまて!!何物騒な話してんのよ!!」


私の何十倍はありそうな、太い大木にロープでくくり付けられているルフィは顔をぐちゃぐちゃにして泣き叫んでいた。私の姿を見た途端、更に表情を歪め「助けてくれぇ〜!!」と懇願する。


「な!?ノーラお前まで!!」

「おいおい、今度はノーラってやつかよ!!どうすんだよ、エース!」

「落ち着け!あいつはまだ何も見てねぇ!」

「ノーラ〜〜!!エースがぁ〜、金ぇ、殺されるぅ〜!!」

「秘密言っちまったよコイツ!?!!」


急いで二人の間を通り、ルフィの前へ座り込む。両頬を包みとりあえず泣きやみなさい、となるべく優しく呟けば耐えるように唇を噛んで小さく頷いた。その様子にいい子、と頭を数回撫で、次は後ろだと立ち上がって方向転換。


「そっちのあなたは、初めまして。ノーラ・コットです」

「あ、初めましてサボです」

「自己紹介してんじゃねぇよ!!」



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