エスシアリース略してエース



「……で?私も秘密とやらを聞いちゃったみたいだけど、殺されるの?」

「え……死にたくねぇ〜〜!!」

「あ、ちが、ルフィ叫ばないで!」

「森の中から声が聞こえたぞ。子供の声だ!」

「な、なに?!」


遠くで響いた声は、敵意が含まれていて心臓が跳ねる。


「しまった、誰か来るぞ」

「とりあえずコイツの縄を解け。ここから離れねぇと宝が見つかっちまう!」

「(結局自分で秘密言っちゃったよ……)」


ルフィの縄も解き、草むらに身を潜めて数十秒。複数の足音と、本当の意味で物騒な内容の話に手を握りしめた。


「やべぇ金に手出しちまった」

「あいついかれてんだ、知ってるか?戦って負けた奴は、生きたまま頭の皮を剥がされるんだ」

「〜〜っ!!」


こんな時ほど想像力が豊かな自分を恨んだことは無い。口を片手で覆い、浮かんだ映像を頭を振って無理矢理にでも拭い去る。いつの間にか握りしめていたエースの服を、更に強く握りしめた。


「ここはなんとかやり過ごして……」

「あれ、あいつは?」

「え……なん…ッ!!」


一際背の高い男に、胸倉を捕まれジタバタと両腕両足を振り回すルフィの姿。なんで捕まってんの!?!?ねぇ、なんでルフィ!??


「助けてくれ、エース〜〜!!」


ルフィのその言葉に急いで頭を下げた、エースとサボ。エースに頭を掴まれ一緒に隠れさせられる。


「あのバカ……おれの名前を!」

「……離して、エース」

「は?あ、おい……!」


ルフィが私の名を呼ばなくて、良かった。エースの腕から逃れ、あたかもたった今この場に来たという風に男達の前へ出る。


「あ、あの!すみません、私の弟が何か失礼をしてしまいましたか?」

「弟だと?」

「はい。エースという名が聞こえてきたんですが、私のこと……でしょうか?」

「なんだと?名前は」

「エ、エスシアリース……長いのでエースと呼ばせているんです」

「……おい」


ルフィを掴んでいる男が、一人の男に顎で合図すればすぐさま捕えられてしまう。



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