おれが守ると誓ったんだ



「おい!ノーラを離せ!」

「ば、ばか!ルフィ!」

「やはり嘘か。一応聞くが、エースってやつが俺らの金を盗んで逃げたってんだ。どこにあるか知らねぇよな?」

「私達は何も知りません!だからルフィを離して!」

「嬢ちゃん……あんたに聞いてんじゃねぇんだよ。ちょっと黙れ」


浴びせられた言葉に、恐怖から喉が詰まる。黙った私に、大男はまたルフィへと問いかけた。直後、心底後悔が私を襲う。


「し〜らね〜っと……〜♪」


そっと目を逸らし、口を尖らせそう呟いたルフィの表情は誰がどう見ても嘘だと分かる。あぁ……君は本当に素直なんだね。嘘がまっったく付けないほどに……。

怪しく笑った大男は、明らかに嘘だと分かるルフィにこう叫んだ。


「思い出させてやるから、安心しろォ!」

「るふぃ、」

「そのガキも連れてけ」

「や、だ、ちょっと!!」


ルフィにも力で適わなかったんだ。大の大人、それも男になんて抵抗できるはずが……ない―――


◇◇◇


―――「はなせ!おれはなにも言わねぇぞ!」

「ルフィ!!お願い、やめて!!」


私の願いも虚しく、大男はルフィよりもでかい木槌を思い切り振り下ろした……が、弾かれるように木槌は一回転して地へ落ちる。

ホッとしたのもつかの間。大男はいくつものトゲがついたグローブを両手にはめた。ルフィを天井から吊るし上げる。ゆっくりとした動作で私の前へ来るなり、大男は言った。


「なぁ、嬢ちゃん。死にたくはねぇだろ?さっさと吐かないか」

「さっきから、何度も伝えてます。私達は何も知りません。私を殺すなら殺せばいい!!ルフィは解放して!!」

「どいつもこいつも……」

「やめろ!!ノーラに手を出すな!ノーラはおれが守るって約束したんだ!!やめろよッ!!」

「るふぃ、」


振り上がった拳は、迷うことなく私へと下ろされた。簡単に吹き飛んだ私の体は、木箱へとぶつかる。怖い、いやだ、痛い、怖い……たす、けて……。

涙で滲む視界には、容赦なく殴られるルフィの姿と呻く声が余計に涙を誘った。



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