逃げるぞ、逃げない、戦うぞ。



「「やめろォオオオ!!!」」


派手な音を響かせ、小屋を突き破り現れたのはエースとサボ。負傷してる二人の男が、エースを指さし「金を奪ったのはコイツだ」と叫んだ。


「エース〜〜〜!!」


雄叫びと共にエースは大男へ殴り掛かるが、体ごと掴まれ身じろぐ。


「こいつら口が堅くて困ってんだよ。テメェのダチが」

「「エース!!」」

「は、はなせっ……サボ!!」

「ぅるぁあああ!」

「……結構痛いじゃねぇか。大人をからかったらどうなるか分かってんだろうな?」


攻撃を仕掛けたサボに向き直った大男だが、すぐ後ろで地面を棒で叩きつけたエースが威嚇する。


「お前の相手はこっちだ!サボ!あいつとノーラを!」

「相手は刀を持ってんだ、気をつけろ」


サボの言葉を最後に、エースはまた大男へと飛びかかる。男達の一人からナイフを奪ったサボは、私に近づき縄を切った。そのまま私を抱え、ルフィの縄を同じように切る。


「る、ふぃ……!!」

「逃げるぞ、エース!」

「先に行け」

「バカ、お前ッ……早くしろ!」

「一度向き合ったら、おれは、逃げない!!」

「なに?このクソガキがァ!!」


声を荒らげ、片時も大男から目を逸らさずにエースはそう言った。いくらエースでも……そんなの無茶だ。


「やめろ!街の不良とはわけが違うぞ!」

「分かってるじゃねェか。おい、遊びはこれまでだ。ありゃ俺達の金だ、大人しく返せよ悪ガキ。金さえあれば悪いようにはしねぇさ」

「おれ達の方が有効に使える」

「エース……!」


エースは本当に逃げない気だ。このまま戦うんだ。「ちょっと待ってろ」そう言い私を地面へと座らせ、こいつを頼むとルフィを手渡される。そしてそのままエースの隣へと並ぶ。


「サボまで……!!」

「おれは、逃げねぇ」

「バカ言ってんじゃねぇよ!ガキに負けたら俺ァ、海賊やめてやるよ」

「「やめさせてやらァ!!」」

「皆殺しだァ!!!!」


始まってしまった目の前の光景に、私は一人唇を噛むことしか出来なかった―――



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