照れ隠しとみた。



皆の手当てを済ませ、私も手当てしてもらう。見事、エースとサボは大男を倒してしまい、宣言通りとなった。私の膝の上でオイオイ泣き続けるルフィの頭を、優しく撫でる。

怖かった怖かったと、叫ぶルフィにつられて私までも恐怖を思い出しじわりと涙が滲む。


「しっくりこねぇな。まえのが良かった」


大男との戦いで折れてしまった鉄の棒を、簡易にだが直したエースはそう呟いた。


「こわかった、しぬかとおもった、あぁ〜〜!!」

「あーーー!!イライラするッ!!うるせぇな、いつまで泣いてんだッ!!俺は弱虫も泣き虫も、大ッ嫌いなんだよ!」


痺れを切らしたエースがルフィに対して怒鳴った次の瞬間、唇を噛み突如泣き止んだルフィは私の膝の上で器用にエースの方へと向き直った。


「あ、ありがと……たす、たすけてくれて、」

「テメ!!」


そしてその我慢は最後まで続かず、涙を零す。またゆっくりと頭を撫でて、落ち着かせようとするがあれだけ殴られ続けたんだ。ちょっとやそっとでどうにかなるものでもないだろう。だって、私だって耐えて口を噤んでいるだけで、少しでも開けば大声をあげて泣き出してしまいそうだ。


「大体テメェら、なんで口を割らなかったんだよ!あいつらは女でも子供でも平気で殺す奴らだ!」

「……喋ったら、もう、友達になれねぇ」

「なれなくても、死ぬよりいいだろ!なんでそんなにダチになりてぇんだよ俺と!」

「だって」

「お前、これまでおれにどういう目に遭わされた。とうとうここまで着いてきやがって」


確かにこの三ヶ月、ルフィが顔中を腫らして帰ってきたりと数え出したらキリがないほどには、色々あった。そういうことだったのか……。


「だって……!だって……!!ほかに頼りがいねぇ!!フーシャ村には帰れねぇし、山賊は嫌いだし、あの家ではノーラは待ってくれてるけど住んでるわけじゃねぇ!お前を追いかけなかったらおれはひとりになる、ひとりになるのは痛てぇよりつれぇ!」

「お前、親は?」

「じぃちゃん以外いねぇ」

「おれが居れば辛くねぇのか。おれが居ねぇと困るのか」

「うん」

「お前はおれに……生きててほしいのか」

「当たり前だ!!」

「そうか!でもおれは、お前みたいな甘ったれ嫌いだしな」


真剣なルフィの声色に、どこか照れたように背中を向けたエースは小さく頭をかいた。私の上から飛び退いたルフィは「甘ったれなんかじゃねぇ!」と反抗する。確かに、ルフィは甘ったれなんかじゃないな。



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