これは勲章だなんて。



「ちょゎッ!?は!?エース……!!?」

「叫ぶな、うるせぇ」

「はな、離して!!自分で歩けるよッ!エースも怪我してる!!」


ダダン宅への帰り道、三人に比べて歩みも遅く息切れも酷い。前を歩いていたエースがこちらを振り向き近づいて来たかと思えば、びっくりするくらい軽々と私を抱えた。

茶化すように口笛を吹いたサボに、睨みを効かせるがなんの効果もないようで逆にニヤニヤと笑みを返される。それがまた余計に恥ずかしくて、下ろせと叫べば落とすぞと言われ即座に大人しくする。


「……悪かったな。怪我させて」

「エースが謝ることじゃないでしょ?……それにこれは私の勲章だよ」

「勲章……?」

「そ。弱い私なりに頑張った、勲章……!だから、エースが謝る必要はないよ。」

「……はっ、そうかよ」

「そうだよ。……ねぇ、エース?」

「あ?なんだよ」

「……生まれてきてくれて、私と出会ってくれて……、ありがとうね」


驚いたように、目を見開き私を見つめるエースに照れたようにはにかむ。大丈夫、あなたは生まれてきて良かったんだよ。綺麗事かもしれないけど、生まれてきて良くない命なんて……きっとない。少なくとも私はそう信じたいし、ルフィ、エース、サボと出会えて心の底から良かったと思ってるコレは本物だ。


「エースが何を思って、何を考えて、何を背負ってるのかは私には分からないけど、私はエースと出会えて良かったって思ってるよ。もちろん、ルフィやサボともね」

「…………」

「エースは、……エースだよ。私とルフィの恩人。……ふふ、このまま運んでくれるなら甘えて私は寝ちゃおっと!エース、優しくね?」

「へー、へー。お姫様の言う通りに」



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