響く音は銃の音



ゆっくりと、彼の手で開かれたドアは地獄への扉かと思えるほどだった。扉の開いた音にいち早く反応した麦わら帽子の男は、私の姿を見るなり満面の笑みを浮かべた。


「ノーラ〜〜!やっぱいるじゃねぇか!」

「なんで、」


言葉を遮り私に抱きついてきた男は、へろへろと力が抜け私によりかかる。……海楼石のせい!?肩を押しのけ私から離せば戻ったようで、混乱の表情を浮かべている。


「どうしてここに来たんですか」

「なんでって、ノーラが海軍と歩いてくのが見えたからゾロと追っかけたんだ!そしたらゾロがこの街の海軍は悪いやつらだって噂聞いたって言うからよ〜」


思わず、言いそうになった。今すぐラティを助けてと喉元まで出てきて飲み込んだ。後ろからの視線があまりにも、怖くて開きかけた口を噛み締めた。


「……そう、それはどうもありがとう。でも、海軍に、悪い人なんているわけないじゃない。知り合いがいて、食事に呼ばれたのよ。それだけ……まだ話の途中だから行くわ。お連れの方にもお礼言っといて。気をつけて帰ってね」


私の話を聞きながら男の表情から、笑顔が消えた。全てを見透かすような瞳に目を見れず方向転換させ、背を押した。

私もテイサーの元へ戻ろうと振り向けば、腕を掴まれ歩みは止められる。


「……離して」

「いやだ」

「今すぐ、離しなさい」

「なんでそんな怯えてんだ。震えてんぞ」


先程までとは違う低い声に、言葉に思わず、テイサーへと視線を移す。ポツリと「あいつか」そんな声が聞こえた時には私は麦わら帽子の背中に回され、いくつもの銃声が耳を独占していた。



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