遊びという名の特訓




それから毎日は驚く程早く過ぎていった。狼さんと秘密の特訓は続き、数分なら自分を浮かせて飛ぶことも出来るようにまでなった。


「わ、わわ!すごいすごい、飛んでるよ!見て見て狼さん!」


二人でお弁当を食べたりクッキーを食べたり、たまにお花畑にパパとママを連れて踊りと歌を披露したりと、瞬く間に時は過ぎる。

少しは、三人との約束を守れそうだろうか?少しは、三人に近づけているだろうか?そんなこと分からないけど、私はやれることをやるだけだ。


いつの日か、約束した大海原へ旅立つその日まで。


「早く、大人にならないかな〜」


花畑に寝転がりお花の香りに包まれながら、呑気にぼやけば隣に座っている狼さんは私の腹に顎を乗せた。
優しく撫でれば気持ち良さそうに目を細める。そう言えば、


「狼さんの家族は?」


そう問いかければ、ピクリと反応した耳。いないの?と聞けばそうだと言うように、小さく鳴いた。


「……そっか。じゃあ私が大人になったら、一緒に海に出ようよ!大丈夫、敵なんて私がやっつけてあげるから!」


拳を作り天に突き上げ笑えば、どこか嬉しそうに尻尾を揺らした。



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