夢だと言ってよ。



一緒にお昼を食べデザートを完食して、食後の運動だとラティをお客さんに見立てて、踊り終え目を開いたが、

予想外のことに体が固まった。


「……ラティ…?」


見たことの無い形相で牙を剥き出しにして、私を……というより私の後ろを睨んでいた。その瞬間響いた轟音に勢い良く振り向けば、村の方から黒い煙がいくつも立ち込めていた。


「ママ…パパ……!!」


サッと血の気が引くのを実感した。嫌な予感が全身を駆け巡り、カバンもそのままに走り出す。聞こえてきた悲鳴に、心臓は更に脈打ち呼吸を乱した。

見えてきた家のドアを壊す勢いで開いて、絶句した。血まみれのパパをママが泣きながら抱きしめていたから。


「ノーラ……どうして帰って来たの!!逃げなさい!!」

「おやおやガキがいたとはなぁ」

「やめて!!子供には手を出さないで!!!お願い!!」


気味の悪い笑みを浮かべた男達より、ガタイのいい一人の男が私の前へしゃがみ込んだ。


「やぁ、ノーラって言うんだね。ところでノーラ?おじさんはある物を探してこの小せぇ村に来たんだ。なんだと思う?」


答えなきゃと頭では分かっているのに、体は恐怖で喉が乾き張り付いて言葉が出せない。いつかの戦慄が私を襲い、口をパクパクさせるだけ。


「怯えてるのか?そうだろうなぁ?怖いよなぁ……なぁ、ノーラ。俺の探し物っつーのがこれなんだよ」


目の前に見せられた紙には、何かフルーツのようなものが描かれていた。そう、私が食べた"悪魔の実"


「ぁ……しり、ま、せ、ん…」

「ほぉう……なぁクソガキ、嘘はいけねぇってママに習わなかったのか?」

「ほんとに、しらな―――」


言葉を遮るように響いた銃声に驚き、思わず瞳を閉じていたが急いで開ければ私の視界には、ゆっくりと倒れるママが写っていた。



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