消えていたピース



「テイサー、さんが、殺したって……」

「そうだよ。俺が殺した」

「だって、海賊が……!」

「あぁ、記憶が戻ったのか」


見上げたテイサーは、背筋が凍るほど冷たくて息を忘れる。もう何度思ったか覚えてないほどに、これは私の知ってるテイサーさんなのかと自分に問いかけている。そんな私を見てか否か、突如ニコりと表情を一転させ笑って話し出すテイサーに、目が離せない。


「お前が食ったカゼカゼの実を、見つけてこいと言ったのは俺だ。抵抗すれば殺せと命令したのも……俺だよ。お前らを助けに来たと装い、実を回収する予定だったんだがな?あのバカ共は殺され、お前の側にはウルウルの実を食べた狼人間の能力者がベッタリだ」

「…………」

「だから時間をかけてお前を信用させたんだよ。バカな君は、ずっと俺を信用していたねぇ?まぁ、あの犬は俺を信用してなかったみたいだがな。だから今日は絶好のチャンスだと思っていたんだよ?なのにこの状況はなんだ?……さっさと殺せばよかった」

「ぁ、…………」

「両親の元へ送ってやるよ、ノーラちゃん」


この状況はなんだ……か。それは私が言いたいし、聞きたいセリフだ。どうして、なんで、何が間違ってたの?……いや、この男は最初からこれが目的だったんだ。あの日私に笑いかけて父親のように可愛がってくれたこと自体が、彼の計算だったんだから……。そうでしょう?答えなんて簡単じゃないか。彼は最初から私に笑いかけてなどいなかった。

テイサーは私の思考なんてお構いなしに、額へと銃口を直接宛てがい、誰かが私の名を叫んだ。それと同時に響いた銃声は、あまりにも大きかった。



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