ただの不意打ち



ラティに目がいってる間に、テイサーの呻き声が聞こえたのは数秒の出来事だった。玄関の扉を突き破り、派手な音を立てて彼はルフィに吹き飛ばされる。

即座に緑頭の人が、周りの海兵をなぎ倒しラティの網を切った。すぐさまフラフラの体に鞭を打ってラティの側へと走る。あぁ、もう、捨ててしまおうじゃないか……だって最初から、最初から偽物だったんだから。

遂にテイサーもキレたのか、物凄いスピードでルフィへと突っ込み殴りかかった。殴っては、殴られ、蹴っては、蹴り返されと繰り返しルフィはどんどん傷だらけになっていく。長く伸びた腕をテイサーにぶつけ、彼はまた瓦礫へと叩きつけられる。

怒声と共に起き上がったテイサーを次こそはと意気込むラティの腕を掴み制す。側に居た緑頭の人に声を掛ければ、鋭い瞳で私を見つめた。


「網を切って頂いてありがとうございます。ついでにこれとこれ、切れますか」

見上げながら私は首と手首の鉄枷を指差した。ニヤリと笑みを浮かべた男はほぉ、と声を漏らす。

「バッ、んなとこ怪我したらどうすんだよ!!」

「あぁ、間違ってその面切っちまうかもな」

「てめ「構いません」…ノーラ!!」


小さく笑った彼は「目つぶってろ」なんて言ったくせに確認もせず、風が吹いたかと思えば首が軽くなっていた。直後に鉄枷の落ちる音が響いた。刃……まったく見えなかった…。


「……ありがとうございます」

「〜〜〜っ、冷や冷やさせやがって!!」

「ごめん、ラティ。ね、私の選択そこで見てて。ルフィ!貴方もそこで見てて」

「…にっしっし、あぁ!!」


ゆるりと立ち上がり、色々な所に付いた砂埃を払う。何十もの銃口がこちらに向けられており怒り狂ったテイサーは、殺せと叫んだ。



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