裏切りはすぐそこに
たくさん食べて、あまり飲み慣れないワインもたくさん飲んで、なんて幸せなんだろう。
切り分けられて運ばれてきた、私が焼いたアップルパイ。自分が作ったのをデザートとして食べるのは、少し恥ずかしいが折角切ってくれたんだ。
「いただくよ、ノーラちゃん。ありがとう」
「いえ、そんな!こちらこそ本当にありがとうございます!」
「ノーラのアップルパイだ」
美味しそうに食べてくれているテイサーさんやラティに、思わず笑みが零れる。うん、我ながらなかなかの上出来だ、良かった。
一口、二口とフォークを進めるたびに増してくる眠気。
なんでだろう、ワイン……飲み過ぎたのだろうか。そんなに飲んだっけ、ちょっとしか飲んでないはずなんだけどな……。
眠気と格闘しながらも半分程、食べたところで、フォークを持つのも辛いくらいの眠気に襲われた。
ガシャン!と響いた金属音は、眠気覚ましにもならなくて、
「あ、れ……な……んで、」
「ッ!ノーラ……!」
最後に見たのは、倒れる私に駆け寄り、私の名前を呼ぶラティと満面の笑みでこちらを見つめる、テイサーさんの姿だった―――
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