落ち続ける涙



―――重たい瞼を開けば、ぼやけている視界は徐々にクリアになっていく。最初に目に入ったのは、床。そして視線をあげると、見える牢屋の鉄格子。


「ラティッ!!」


ジャラッ!……嫌な音を響かせたそれは、思いのほかすぐ側で鳴った。立ち上がろうとして初めて気づく。床に繋がれた手錠。


「海……楼、石…?なんで、」


海楼石と分かった途端体の力は抜けた。辺りを見回せば少し離れた所に、私と同じよう、床に手錠で繋がれたラティの姿が鉄格子から見えた。項垂れている姿にとてつもない焦りを覚えたが、浅く動いているお腹に寝てるだけかと息を洩らした。
ラティの名前を数回呼べば、小さく声を洩らして頭をあげた。


「ノーラ……ノーラ!?」

「ラティ!」

「ノーラ!!クソッ!!なんで海楼石!あの野郎ッ!!」


声を荒らげながら、力の入らないであろう体でこちらへ近づき何度も引っ張るが海楼石が能力者に壊せるはずもなく、ラティはまたクソッと吐き捨てた。

なんで、どうしてと考えたって今の私に答えが分かるはずも無く、それでも疑問が頭の中を巡るだけ。何かの間違い……だよね?きっと、そうだ。だって、テイサーさんがこんな事するはずがないもの。

私達を自分の子供のように可愛がってくれてた。ずっと気にかけてくれて、何度も島に遊びに来てくれてた。


「何かの、間違いだよ……」


それはまるで自分に言い聞かせるかのように、そうであって欲しいと呟いた言葉。大きく脈打ってる心臓が、全身に響いていた。



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