片思い
※百合表現
「行くぞ野郎共ぉぉおおッ!!」
そう拳を空に突き上げ叫んだは、我ら麦わら海賊団の船長ルフィ。その様子をイスに腰掛け後ろから眺める、つい最近麦わらの一味になった私。
正直、海賊は嫌いだった……だった、というのは語弊があるな…今でも海賊は嫌いだし許せない。だけどこのルフィ率いる麦わら海賊団は、なんだか少し…というかだいぶ違う。
むやみやたらと人を傷つけない。まぁルフィ達の邪魔や命を狙ってくるやつらは別だが。
そんな麦わら海賊団に私は救われ仲間になれたわけだが、一つ問題がある。深い溜息を吐き出せばどこからともなく現れたサンジは、甘い香りが漂う美味しそうな紅茶を私に差し出した。
「麗しのマドモアゼルにそんな表情は似合わないよ。ロビンちゃんもどうぞ」
『…ふふ、ありがとうサンジさん。いただきます』
「ありがとうサンジくん。いただくわ」
ロビンさんのウィンクに、目をハートにさせクネクネと動くサンジは本当に女の人が好きなんだと実感する。あ、すごい美味しいこの紅茶。ナミにも届けに行ったサンジは嵐のようだと、笑みを零した。
「また、ルフィを眺めていたの?」
『あはは、バレちゃった』
「分かっていないのは本人だけね」
『ルフィに分かれって言う方が、無理な話だよ』
紅茶を一口飲んでは「確かに、そうね」と微笑んだロビンは同性をも虜にする美しさと色気がある。私にもこれくらい美しさがあれば、多少なりともあのルフィに……いや、無理だな。絶対無理だ。だってあのルフィだもの。
そう、一つの問題とは私がルフィを好きになってしまったということ。
『ルフィに恋沙汰なんて無縁だよ。それにそんなことに目がくらんでちゃ、彼の言う海賊王になんてなれやしないでしょ。私は多分、そんなルフィを好きになったんだから』
「……健気ね」
『そうかな…?まぁ、両思いにだなんて端から望んでないよ』
飲み干した紅茶に、サンジに対して感謝を込めごちそうさまでしたと呟く。ぐっと背伸びをしてカップを持ち立ち上がる。
『片思いも結構楽しいもんだよ。ルフィの笑顔が見れるから満足っ!』
ニコリと笑って、そう言い残し私はキッチンへと向かう。ウソップ、チョッパーと楽しそうに遊んでるルフィを横目に、見れた笑顔に幸せになる。
だからロビンが私を見つめて言っていた言葉なんて知る由もない。
「…確かに私も貴女の笑顔が見られるなら、今は満足ね。……今、は」