if 青の祓魔師
「遊乃に、触るな!!」
「り、燐ちゃッ!」
「遊乃ちゃんケガは……!?」
「ゆ、きくん、だい、じょぶ……」
私達の体よりも倍ほどある大の大人の男を、燐ちゃんは睨みつける。私を庇うように前へと出てる燐の背中は、頼もしくて頼もしくて、多分その日から私は燐に恋をしたんだと思う。
◇◇◇
「……遊乃さん、その頬…」
「あぁ、隣のクラスの女にちょっとねぇ〜」
「そこ座って。見せて」
「いいよ別に。すぐ治る」
雪を通りすぎようとするが、腕を掴まれ阻止される。チラと横目で見れば眉根を寄せ私を見ていた。
「遊乃は女の子だよ」
「……わかったわかった!」
薬箱を持ってきた雪は、壊れ物を扱うようにそっと頬に触れた。そこまで女扱いしなくてもいいんだけどなぁ。
「雪はいつもそうだよね」
「何が?」
「燐ちゃんと違う優しさがある」
「答えになってないよ」
湿布を貼られその上から落ちないようにテープを貼る。いつものことだが、どうもこの鼻につく匂いは慣れそうにない。終わったよ、と呟いた雪にお礼を言ったところで聞き慣れた声を耳が拾う。
「おかえり、燐ちゃん!」
「ちゃん付けやめろって!…ただいま」
「おかえり兄さん」
「ただいま。って、遊乃またお前女にやられたのかよ」
「まぁね〜」
なんで俺を呼ばなかった!と怒る燐だが、こればっかりは仕方の無いことだ。いつものように次は呼ぶよ、と流すが毎度言うもんだから燐も流石に覚えるみたいだ。
「お前こないだもそれ言ったぜ」
「まぁまぁ、兄さん……」
「モテる女はつらいんだから仕方無いよ〜。家に帰れば雪が手当してくれるし燐ちゃんは怒ってくれるし充分だよ」
ありがとね、そう二人に微笑んだ。ずっと、ずっと、こんな平和な生活が続けばいいのに。なんて、青い炎の力が強まっている彼を見つめながらにそんなことを思った。