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「は……あ、?」
長い、永い眠りから覚めたそんな感覚。突如襲った光は視界を阻む。数秒なのか、数十秒か、慣れてきた目に広がったのは、とてつもないのほどの大自然で、起きたような起こされたような思考が止まる。
「よう、3700年ぶりだな」
「……千、空…?」
突如後ろから聞こえてきた声が、なぜだか酷く懐かしい。考えるより先に振り返れば、自信満々の笑みに涙が出そうになった。だが、私の知ってるいつもの制服ではなく、どこか大昔を連想させるような服を……服…?何かローブのような布を肩にかけられると同時に、
「っ!?!?」
思わず自分の体を、布ごと抱きしめ隠すように蹲った。いやにスースーするな、ときっと脳が感情が危険信号を出していたが、見慣れない景色に邪魔をされたのだろう。ちらりと下を覗き込んで絶望したと同時に、色々な疑問がパンクするんじゃないかというほど沸き起こる。
「なんっ、なんっで裸!?てかここどこ?!何??!なんで、こんな、森!?!?服は??!えっ、何?!何事なのよ千空!!!」
「おーおー、3700年経っても相変わらずうるせぇなオメーは」
「さんぜん、なな、ひゃく…年……?」
こいつは、この科学ばかは何を言っているんだ。3700年って何?え、何?私の知ってる西暦から3700年経ったってこと?は?科学のしすぎで頭おかしくなったの?それとも何、遂に某青いタヌキで有名な某タイムマシンなんか発明して知らぬ間に連れてこられた?いやいや、まさか、いや、……いや、この科学脳みそ野郎なら有り得なくも…ない……?
ボロボロと足元に散らばっている石の欠片を拾って、思い出す。
「石……?あ、思い出した」
「本物の馬鹿じゃなくて助かったぜ」
「3700年、も、経った…の?なんで分かるわけ?まさか数えてたとか言わないわよね?」
「数えてた」
あっけらかんと答えた千空を尻目にでかい溜息と共に頭を抱えた。信じられない、途方もない時を数えてたって言うわけ?3700年、毎分毎秒?永遠に?ずっと、一人で…化け物かコイツは。でも一人で誰の助けもなくやってたなんて、私なら無理だ。現に石化が解けるまで意識などなかったのだから、本当すごいよ。
「人間に戻してくれてありがとう。他は?」
「俺達だけだ」
「そっか、杠や大樹の場所とかは把握してるんでしょ?」
「よく分かってんじゃねぇか」
行くぞ、と踵を返した千空のあとをローブをキツく縛りながらついて行く。……というか、
「なんで大樹を先に起こさなかったの?」
「力あるし、私より先に起こしといた方が効率的だと思うんだけど」
ただただ純粋な疑問を、ローブの作業片手間に投げかければローブに視線を奪われていた私は足を止めていた千空にぶつかる。
「いて……千空?」
「本当なんでだろうな、真っ先にお前の顔を見たいと思っちまったんだよ」