荒い息を押し殺し、ヨナの手を引いてハクについて行く。そんなヨナも息は上がっていて、苦しそうな呼吸を繰り返していた。

気づいたハクが私達の様子を見て、休憩しようと持ち出し、少し悩んだが頷く。木にもたれかかるヨナの瞳に光はなくて、操り人形を連想してしまう。


「ミンスは、死んじゃったの?」

『ヨナ……』


その一言に、城での光景が目に浮かぶ。背に矢を受け倒れたミンス。きっと最初から、彼は分かっていた。それを承知で私達を守ってくれたんだ。

ヨナの隣に座り、頭をゆっくりと撫でてやる。彼女から紡がれた言葉に、撫でる手は思わず止まった。


「私も、死ぬのかな。ハクも、姉様もスウォンに殺されて」

「あんなクソッタレにやる命なんて、持ち合わせてねぇですよ」

「……死なないでね、ハク。死んだら…許さない、から」


小さくなる語尾に、閉じられる瞳。流される涙に、小さな小さな手を握った。優しく涙を拭って。


「……まだ信じられねえな。イル陛下が死んだなんて」

『私だって、信じたく、ないわよ。それでも、目の前で見てしまったわ…ッ!この肌で、冷たくなる陛下の体温を感じてしまったの!……ミンス、だって…!』

「すみません、#name1#様、『やめて』…」

『今は、ちゃんと、呼んでちょうだい』


やっと出てきた涙は、止まる気配などなくてとめどなく溢れてくる。ユンリ、そう呼ばれては腕を引き寄せられ、包まれる。本当に、優しかった、陛下は誰よりも優しく愛に溢れていた。


「あんた達を一人にして、しょうもねぇ王様だよ」

『っ、ふ、ぅ…一人じゃ、ないわ。ヨナが居る。それに、ハク。貴方も居るわ?ねぇ、ハク…貴方は私達を、…私を置いていかないで。ずっと側に居なさい。これは、命令よ』

「っ、はは。良い女に泣かれて命令されちゃ、背きようがねえよ」

『何言ってんのよ、ばかね』

「……無理に、笑うなユンリ。姫は寝てる。俺も見ていない。何も聞かない」


壊れ物を扱うように撫でられた頬に、ミンスを陛下を思い出し止まったはずの涙は簡単に零れる。優しく頭を抱かれ、握りしめた彼の服。


とても、温かく、とても、胸が苦しかった。


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