03


混乱した俺の「タイム!」発言を受け、アルバはおかしそうに笑った。
「なんだよタイムって……!」
「わ、笑ってる場合か!他人事だと思って!」
べしっと肩を叩くと、
「はー、悪かったって!」
そう言いながら頬はまだ緩んでいるんですけど?じとっと見つめれば、アルバは咳払いをした。

5人で円陣を作りこそこそ相談モードに入る。
「そもそもファンクラブってなに?」
俺が問うとサーシャが戸惑ったように答えた。
「何って……言葉通りの意味だよ。家柄が良くって見た目の良い生徒にはファンクラブができるんだよ」
「……目的は?」

アルバが引き継いで答える。
「人によるな。カッコイーって同好の士同士できゃーきゃー言うだけの目的だったりもするし、」

「あとは『抜け駆け』防止の目的だったりもするね」
付け加えたのはシュカだ。微妙に不穏な単語に自然眉が寄る。シュカはゆるーい調子で解説してくれる。

「権力の強くて恰好いい生徒に取り入って愛人みたくなろう、って思うやつは結構多いんだよー。特に『可愛い』方面で自分の容姿に自信のある子はね」

あー、サーシャみたいな。思わずちらっとサーシャを見ると気まずそうに目を逸らされた。
シュカは特に気にした様子なく続ける。

「でもそういうのって何十人もなれるわけじゃないっしょ?揉めかねないんで、とりあえず『僕はノエ様が好きなんですお近付きになりたいんです!』と表明だけしておいて、あとはノエに選んでもらいましょ、ってことだね」

「……えーっと、誰かが『抜け駆け』した場合は?」
おそるおそる聞くと、シュカはあまーいマスクを綻ばせて
「ファンクラブの特色や規約にもよるけど……まあ大概『けしからーん!オハナシすんぞ!』ってとこかな?」

え、ええ……
つまり、ファンクラブの名のもとに制裁しちゃうぞ☆ってことだよな……
俺は思わず天を仰いだ。
また妙な事態になってきた。

「……でもそれってさ、俺の自由な交友関係を制限されてないか?アルバ達も『抜け駆け』したって取られるのか?……もしそうならその、言葉を選ばず言うとすごく鬱陶しいんだけども ……」

アルバが肩をすくめて答えてくれる。
「……ファンクラブの中には、そういう方向性に走ってるとこもあるな。これも人によるとしか言えねえかな」

リールが控えめに口を挟む。
「……そのへんは、そこの3人に、聞いてみるのが、いいんじゃない、かな?」

うーん、それしかないのか。
俺が難しい顔で考え込んでいると、アルバが助け舟を出してくれる。

「そういう過激な方向に進ませたくないなら、方法はひとつだな」

……というと?

「ファンクラブ設立を許可すればいい。どうせ許可しなくたって遅かれ早かれ本人非公認のファンクラブが建つだろ。なら、設立段階で規約の部分に一枚噛んじまえばいいんだよ」

ふむ。
メンバーが守るべきルールを俺自身で決められるならまだいいか。普通の友達付き合いまで制限されてはたまらない。
うまくコントロールしないと、フレディ=レクシスくんに対するクレールみたいな狂信者ができかねないわけだしな。

しかし……

俺の素朴な疑問がぽろりと零れた。

「そもそもさあ……俺の家柄が良いのはまだ分かるけど、見た目の方はそこまで良くないだろ」

「「「「えっ?」」」」

アルバ、シュカ、リール、サーシャの声か被った。

……えっ?


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